CS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージの勝者が決まった。
東京ヤクルトとオリックス・バファローズである。
目の端でヤクルト-巨人戦を見ていたが、覇気の違いは歴然だった。ヤクルトベンチが膠着~劣勢でも前のめりな姿勢を見せていたのに対し、7回に逆転された巨人はもう悄気返っていた。もっとも、これはシーズン終盤からそうだったのだが。
中学時代の監督に、「チーム全体で相手をこじ開ける『何か』を持て」と言われた。
打撃・投手力・守備力・走力、どれかが普通だろうが、母校は基本的に弱小でその中に選択肢はない。
であれば武器は「元気」だと言う。要するに精神力というわけだ。
最後まで諦めないという言葉は文字通りゲームセットの瞬間まで、前に出ること以外を想定しない。逆転されて「しまった」と思わないはずがないが、それを都度引き締め直す、負けないという心を持つ。それに勝っている時に声が出るというのは当たり前で、負けているときにこそ声を出して盛り上げなければいけない。そうすれば必ずチャンスは訪れる。そういう砂を噛むような一進一退の攻防の先にしか、弱者の勝利はない。
翻って文筆活動にもこの教えは生きているように思う。
もっとも大切なことは続けることで、それは倫理をかなぐり捨てて得た一瞬の成功など越えていける破壊力を持っている。
スランプに陥った選手は、たいていヒットを欲しがって深みにはまる。その時にいかに最後まで攻める姿勢を、形を見せ続けられるか。そもそも結果など自分で決められることではない。やるべきことをやる、それに専念する意識を強く持つべきではないか、ということを野球を通じた人生哲学として学ばせてもらったように思う。
で、ふがいない巨人ではあるが、微かな希望としては廣岡選手の見せたヘッドスライディングがあった。来季は心躍るような、熱のあるプレーを期待したい。