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海本読記 その4

 タイトル決定しました。深い意味は特になく、四字熟語の如く、読んだそのままの意味です。「海沈生物が本を読んだ記録」を略して、海本読記。
 それで第四回に読んだ本ですが、三冊です。ネタバレ控えめにしていますが、それでも「語る」という性質上、ある程度内容に触れてしまうのはご容赦ください。



 まずは一冊目ですが、セルバンテス作・牛島信明編訳『ドン・キホーテ』(岩波少年文庫)です。有名タイトルなので多少の知識があった上で読みました。
 それで感想になるんですが、端的に言って狂人の概念が壊れる。ドン・キホーテとその従者は周囲の人間からも馬鹿にされているし、言動も不審者のそれではある。しかし、ドン・キホーテは本当に狂人だったのか? と言われると難しくて。
 あらゆるものを「魔法使いのせいだ!」と思い込んでいるのですが、その「魔法使い」の部分に別の何か……定番の「政府」や「(特定の人物の名前)」を入れた時、果たしてその思いと彼の狂気にどの程度の違いがあるのか。子ども向けの話ながら、少し考えさせられました。

 次に二冊目ですが、H.G.ウェルズ著・金原瑞人翻訳『タイムマシン』(岩波少年文庫)です。こっちは一冊目と違って、事前知識0です。国民的某アニメが使っていたな、ぐらいの認識。
 それで感想になるんですが、無性別と恋愛すんなと変なキレ方していました。タイムマシンで未来に行った話なんですが、そこでは人間に性別がなくて。それじゃあ人間たちに性別がないということは、超人的な性格をした人間(人間性を感じさせない、無機物的な人間)をめちゃくちゃ期待していたんですよ。泣きました。別の意味で泣きました。期待は打ち砕かれました。でも、最後の結末は正直好きでした。そういう「うぉ」となるエンド、オタクなので好き。

 最後に三冊目ですが、佐藤究著『テスカトリポカ』(角川書店)です。事前知識はネットで見た、「麻薬カルテルが無茶苦茶になる話」ぐらいです。
 それで感想になるんですが、世代交代へ行くまでが重すぎんですよ。今の朝ドラと同じ。でもそのどうしようもない重さが、世代交代後の時代の軽さの中で良い塩梅に作用していて。(「過去が重い子には幸せになってほしい」という感覚と限りなく近いものと似ている)
 ネタバレあまりしない主義なので深くは触れませんが、その世代交代後も軽い感じで描かれていますが、かなり地獄です。物語の話とはいえ、さすがに許せねぇよ……という気持ちになりました。何とは言わないけど、子どものいる親が見たらキレるでしょ、という気持ちになりました。でも物語としては良いのでそれで釣り合いが取れて……取れている? 本当に?(どちらにせよ、読むのなら子どもがいない人の方が良いです)

 これぐらいでしょうか。この中だと、今回は一冊目が好きでした。三冊目は面白いのは面白いのですが、ちょっと……「救い」が「救い」になってないんですよ。面白いのは本当に面白いです。

 それでは、今回はここまで。次回は早く更新できるように頑張ります。

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