最近めっきり寒くなりました。
お鍋の美味しい季節です。
さて、「小魚ジョージ」は社会人になってから書き上げた数少ない作品の一つです。
「妻が魚を出産した」という不条理な状況に直面した、男の葛藤と成長を描いた作品です。
すでにレビュアーの方が仰っているように、この作品のテーマは「父親への成長」です。
夫婦にとって、子供とは異物です。
特に父親にとっては、それまで自分が独占してきた妻(または恋人)を奪っていく存在なので、初めのうちは愛しいよりも、憎らしい、が勝っているかもしれません。
そんな男が父親になれるかどうかは、「弱き者を守れるかどうか」で決まります。
自分の子供であるかどうかに拘わりなく、弱い者を前にした時、慈しむことができるのか、あるいは力に任せて排除してしまうのか…その選択に迫られた時、自己を殺して前者に立てるかどうかで、父性は決定するのではないでしょうか。
なんてことを、私は男性でもなければ子供もいないのですが、想像力の限りを絞って作ったのが、この作品です。
とは言え、主人公はまだ父親になったばかり。
今後も彼は父親として、まだまだ成長していかなければなりません。
もちろん、魚の子供もすくすくと成長していきます。
この奇妙な一家がこれからどんな成長を遂げていくのか、想像するのも楽しいかもしれません。