※日々、誰よりホントは浅ましい、と思う心が、おこがましい、誰よりうんぬんと言えるほどに特筆すべきことなどなにもないのに。
3171:【2021/08/24*ごった日記】
「うどんは安くておいしくてお腹いっぱいになるから好き。いつも素うどんだけで、麺つゆに浸して食べる。でもきょうはおいなりさんに使う油揚げを載せて食べたらもっと美味しかった。甘い出汁のたーっぷり染みこんだ油揚げが、うどんの一本一本のあいだを縫うように染みだして、麺つゆのしょっぱさと手と手を繋いで、夏の暑さでまいっている胃袋までよーいドンのダッシュを何回でもキメてくれる。油揚げ載せうどん、おいちー」「しあわせになってほしいひとたちがしあわせに一歩でも近づけたら、ただそれだけで生きていてよかった、と思える。いくひしさんは孤独が好きではあるけれども、それはけっして他人がどうでもいいというわけではなく、他人がいないほうがいい、というわけでもないのだね。できるだけみんな生きててよかったの実感を日々抱ける時間を過ごしてほしい」「日によって、日誌を並べるほうが楽なときもあれば、小説をつくるほうが楽なときもある。でも読むのは断然、日誌というか、小説じゃないほうが楽だ。じぶんの小説の場合は読むのにすごく頭を使ってしまう。ただ他人の小説の場合はこの限りではなく、それはきっと文字を読んでいることを忘れてしまうくらいに波長の合った小説だと、楽しさが上回るので、疲れそのものが楽しい、になるからじゃないかな、と思わないではないのだね」「これは嘘なんですけど、いくひしさんには身近なお世話をしてくれる兄貴がいて、SNSの運用とか、投稿サイトの管理とか、電子書籍化とか、ほか書類の管理から掃除洗濯食事の用意まで、もろもろしてくれる雑用さながらの八面六臂の大活躍をしてくれる便利な御仁であられるのだけれども、さいきんどうにも忙しいらしくて、あんまり構ってもらえないので、いくひしさんもさいきん、部屋の片づけを頑張りはじめました。でね、ないなぁ、ないなぁ、と思って探していたご本がころん、とベッドと本棚のあいだから発掘されまして、あったー、と思って中身を確認したら、なんと気づいたら夜になっていて、部屋は片付いていないし、なんでか片づけはじめるよりもずっと激しく散らかってしまった塩梅で、兄貴はきょうも帰りは遅いみたいだし、いくひしさんはきょうも素うどんを茹でて、薄めた麵つゆにつけて食べる贅沢なひとときを満喫するわけでありますが、まあね。偉いよね。兄貴は偉いと思います。もちろんいくひしさんに兄貴なんていないんだけれども」「眠いときに寝る。ただそれだけの自由がない社会なんて嫌じゃが」「眠すぎるので、寝るんじゃ。ぐ―」
3172:【2021/08/24*腕時計は嗤う】
(未推敲)
挙動不審なひとだなぁ、が祖父の印象だった。記憶の中にある祖父はいつも忙しく周囲を窺い、暇さえあれば腕時計に何回も目を向けていた。時間にうるさいひとだったのかもしれない。
祖父はわたしが高校生のころに亡くなった。
先月の末に祖母が亡くなり、形見分けで、いまさらながらに祖父の腕時計を譲り受けた。祖母が後生大事に仕舞っていたらしいが、家財道具ごと処分するらしいので、せめて二人分の形見として腕時計を選んだのだ。
ちょうど新しい腕時計に買い替えようと思っていたこともあり、アンティーク調の祖父の腕時計はお気に召した。祖母が亡くなって日が浅いにも拘わらず、どこかしらほくほくとした心地には、我ながら現金だな、とすこしばかりの自己嫌悪にまみれるが、祖父や祖母はこうして孫たちに悼まれながら死ねたのだからまだよいだろう、という気持ちもなくはない。
おそらく私が死ぬときに私を看取る者はなく、(つづきはこちら:
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371/episodes/16816700426659159918)
3173:【2021/08/25*うひ】
この日誌、記事タイトルのところに日付を入れはじめたのが今年の六月からで、それ以前はたまにしか日付を入れてこなかったのだけれど、日付を入れはじめてから毎日律儀にその日がきてから日誌を並べるようになってしまって、記事のストックを使うということがなくなってしまったので、もっと楽をしようと反省しました。というわけで、きょうはもう数日分を更新してしまって、数日サボるをすることに決めた。いま決めた。なんも並べることがないときはこうしてなんかいいこと考えた、みたいにしてその場の気まぐれで予定を決めてしまうとよい。失敗したら失敗したで、それがネタになるので、どっちに転んでも得しかない。いくひしさんのよくやる考え方だ。どっちに転んでも得しかしない。そういう解釈ができるというだけで、本当はどっちに転んでも損をしているかもしれないけれど、想定して受け入れる覚悟を決めた損はもはや損ではない利にちかい何かだ。そんなことはないんじゃないかな、と冷静ないくひしさんがツッコミを入れてきたので、きっとそうではないかもしれないです。いい加減なことばかりを並べている。すみません。さっき買い物に出かけてそのあいだに夕暮れの空を眺めながら思ったのは、信用というのは本当になんてことのないことがきっかけでなくなってしまうのだな、ということで、信用を取り戻そうとしても、一度の失敗でもう二度と信用されなくなる、ということも世の中には往々にして有り触れているもので、信用されないと生きていかれない業界で生きている人たちはたいへんだな、と思う。その点、いくひしさんは生きてきてこの方いちども誰からも信用された覚えがないので、楽な生き方である。信用されたことがないのだから必然、信用を失くしたこともないのだ。人に失望されたくなければそもそも期待されなければいい、という屁理屈と同じだ。死にたくなければ生きなければいい、みたいな極端な思考は好きではないけれど、する分には楽なので、まあ言葉遊びとしてはほとどほどにこね回してみるのもよいかもね、と思わないでもないのですが、やっぱり好きくはないのです。まとまりがないけれども、とりあえず文字を並べりゃいっか、の気分なので、本日の日誌はこれにて完了とする。趣味なので、こんなにへろへろぴーみたいな文字の並びでもおっけーです。うひ。
3174:【2021/08/25*脅威は背後にヒタヒタと】
(未推敲)
雨の日、家までの道中で違和感に気づいた。ヒタヒタとじぶん以外の足音がある。濃い霧が垂れこめており、振り返っても人影らしい人影は見当たらない。
不気味だったので気持ち駆け足で家まで急ぎ、玄関を開けてなかに入る。
アパートの一室だ。
脱衣所のまえに洗濯物が干されている。そこからバスタオルをもぎとり、濡れた顔を拭う。
「ちょっと聞いてよ、いまさぁ」
居間ではタツヤが布団のうえに寝転がり、誰かしらとカメラ通話していた。さっさと客とってこいよ、と怒鳴っているが、途中でこちらの声に気づいたようだ。んあ?と振り返る。無精ひげを生やした間抜け面だ。目玉が血走っているのはずっと画面を凝視していたからか、はたまたそれ以外の理由がほかにあるのか。
目をカっと見開くとタツヤは、
「うわぁ」
顔に負けず劣らずの間抜けな悲鳴をあげた。勢いよく上半身を起こしたかと思うや否や、奥のほうへと遠ざかる。ハイハイに夢中の赤子のごとく有様だ。
「ちょっとなんで逃げるの。なに、なんなの」雨音が激しさを増す。
「おい、なんだそれ。くるな、くるなって」
窓際まで後退するとタツヤは、鍵を開けようとジタバタもがいた。こちらの背後にバケモノでもいるかのごとく様相だ。「くそ、くそ、なんで開かねぇんだ」
「ねぇ、なんで逃げるの。やめてよ怖いでしょ」
「怖いのは俺のほうだっつうの」タツヤは手当たりしだいに物を投げつけはじめる。
「痛い、痛い。やめてってば」
「くるな、(つづきはこちら:
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371/episodes/16816700426690901332)
3175:【2021/08/26*強欲の権化】
さいきんお菓子を買いにいくだけで三千円とか使ってしまうので、食べすぎているかもしれない。ササミが三パックで千円だったりして、冷凍しておくといつでも使えてよいな、と思って買ってきてしまうのもちょっと出費がかさんでいる感じがする。冷凍のササミは、ボイルしてから炒めると解凍する手間が省けて、火もちゃんと通るし、好きだけれども、ビタミンとかそういう栄養さんがお湯に溶けだしちゃうから、栄養面ではよろしくないのかもしれない。でも解凍する時間が惜しいので、ボイルしてから炒めるをする。お菓子は甘いのとしょっぱいのの両方が欲しいので、これを買ったらじゃあこっちもだな、と買い物かごの中に放り入れていくと、あっという間に二千円を超す。スーパーのどこにでも売っているお菓子さんたちであるが、買いすぎである。これ以上お腹さんに栄養を与えたところで、消費しきれるくらいに脳みちょさんを酷使したりはせぬので、脂肪貯金は控えようと思います。でもおなかがふにふになのはよいと思う。つまんでも余るくらいがちょうどよい。なぜなら、ふにー、の具合がネコさんのほっぺたみたいでかわゆいので。ネコさんはいつでもふにふにで、かわいい。おなかもふにふにでかわいい。よいと思います。マスク二箱合計六十枚で880円は、安いけれども本来なら不要な出費なはずだから、そう思うと、高っ、と思ってしまうな。必要なので買うけれども。お店のまえでは焼き鳥屋さんが鶏肉を秘伝のタレにつけて串に刺して、炭火焼きにしている。空気中に漂う匂いは香ばしい。呼吸をしなくては生きてはいかれないいくひしさんは、否応なく匂いごと空気さんを吸いこまざるを得ないのだけれど、そのたびにお腹さんが、「く、く、くいてぇ」とにわやかに戦闘態勢になるので、マスクさんにはもっとちゃんといろいろなものを匂いさんごと濾しとってほしい、と思わないでもない。きょうもきょうとて、じぶんには甘くそれ以外には手厳しい、万年傲慢に磨きをかけては欲求にだけは素直な、いくひしさんなのであった。
3176:【2021/08/26*白髪の談】
(未推敲)
ネクタイからはみ出ている糸を切ってはいけない、とインターネット上で話題になっていた。
居間でくつろいでいる兄に教えてあげると、
「なんで」と返事がある。
「ネクタイのスリップステッチってやつで、一本の糸で縫っているがゆえに、それを切ると全体がほつれはじめてしまうんだって」
「へえ」
「お礼にコーヒー淹れてくれてもいいよ」
「恩着せがましいな」
「嫌ならチョコレートもつけてくれてもいいよ」
「増えてんじゃねぇか。しょうがねぇな」
兄は立ちあがると、台所に向かった。
居間から兄の作業を眺めていると、あ、と兄の頭に目が留まる。
「兄ちゃん、白髪あるよ」
「ウソ。どこ」
「ここ、ここ」
私はソファから腰をあげる。台所との境に身を乗りだし、兄に頭を突きだすように身振りで指示する。
つむじを見せつけるようにした兄の頭から、一本だけ飛びだした白髪を見つけると私は、
「ほらあった」
掛け声を発して、引っこ抜く。
ぷっつん。
予想以上の手応えにびっくりする間もなく、兄の頭からは空気が噴きだし、見る間に顔がしわくちゃになる。
だけに留まらず、兄の頭からは髪の毛がハラハラと抜け落ち、剥きだしになった頭皮からは、ジグソウパズルが崩れるように細胞が宙を舞った。
頭蓋骨が露わとなり、ヒビが走る。パラパラと砕けると、こんどは露出した脳みそが砂塵となって、シンクに一筋の線を描いた。砂時計さながらの滑らかさだ。
兄の全身はそこから一分も経たぬ間にほつれ、ほぐれ、砕け、崩れ、流れ落ちては、宙を舞い、衣服を残していずこへと消えた。
あとには私のゆびのなかでピンと伸びる一本の白髪が、針のごとく、剣呑な存在感を振りまいている。
3177:【2021/08/27*例外がありすぎ問題】
以前、宇宙に果てがなければ夜空は光で満ちているはずだが、そうはなっていないのはなぜか、という疑問について私見を述べた。私見の概要としては、宇宙に果てがあろうがなかろうが、宇宙にある恒星の数は有限かもしれないし、宇宙空間にガスや浮遊物などの遮蔽物で溢れていれば光は地球まで届かないこともあり得る。また宇宙に果てがないことと、宇宙が無限に広がっていることはイコールではないがゆえに、やはり果てがないことイコール宇宙が光で溢れていることにはならない、といった考えを述べた。しかし現在の研究の結果から述べれば、宇宙には微弱な電磁波(いわゆる宇宙マイクロ波背景放射)が満ちており、それは宇宙開闢時に起きた晴れ上がり時に全宇宙に広がった電磁波だと解釈されている。光は電磁波の一種だ。電磁波は光だ、と言っても間違ってはいない。我々人類にとっての可視光ではないというだけであり、宇宙は微弱な光で満ちているのだ。とはいえ、可視光に限って言うなれば、恒星の数が有限かもしれないし、地球までまっすぐに届くわけではなかろうし(ブラックホールやほかの超高質量の物体の近くを通れば光の進路は曲がる)、遮蔽物とてたくさんあるだろうし、宇宙は膨張しているがゆえに地球から遠い光源ほど光の波長は伸びていくので、可視光から赤外線に向かい、視認できなくなる可能性が残る、と言えそうだ。(お昼寝をしていたときに、あれ、と気になっただけの妄想です。どこまでの知識が正しく、どこまで考えに矛盾がないのかをいくひしさんは検証すらできません。くれぐれも真に受けないでください)
3178:【2021/08/27*脳みそカピカピ薬】
(未推敲)
脳みその固さは豆腐とだいたい同じらしい。ならばなぜ崩れないのかといえば、脳脊髄液のなかに沈んでいるからだ。豆腐とて、購入時には水分のなかに浸っているはずだ。容器を振っても豆腐は崩れない。だが水を抜けば、一振りしただけで潰れる。
ならば脳みそとて、脳脊髄液を抜いてしまえば、たった一発殴っただけで人間の脳みそなどたちどころに崩れてしまうに違いない。
これは使える、と思いワガハイ、さっそく脳脊髄液を脱水する薬の開発を目指した。徹夜に次ぐ徹夜を歯を食いしばって乗り越え、苦節三日で実用化に漕ぎつけた。
さすがは天才である。
三日もあればこの通り。
世紀の大発明などちょちょいのちょいである。
誰も褒めてくれないのが腹立たしいが、そこは超一流の身ゆえ、声なき声で「なんでや、なんでや」の音頭を踏みながらも、すまし顔で耐え忍ぶ。
動物実験でも効果は確認済みだ。
あとは人間で試すのみである。
我が天才ぶりを一向に認めようとしない連中に一泡吹かせてやろう。
開発した新薬その名も「脳みそカピカピ薬」をカップの底に数滴垂らし、来客用の食器に混ぜておく。
我が才能を一向に認めん連中を家に招待し、コーヒーを御馳走したと見せかけて、新薬入りのカップを使わせて、人体実験の被験者にしてやる。
企てはとんとん拍子に運んだ。
予想外だったのはワガハイの人望がことのほかか細く、家にやってきたのがたった一人きりだったという事実だ。なにくそこのやろう、と地団太を踏みたくなったが、ワガハイは天才であるので怒りを呑みこみ、おくびにも出さずに、やあやあいらっしゃいと来客を部屋のなかに招き入れる。
「きょうはいったいどうしたんだい。おやなんだいこの紙飾りは。まるでパーティでもはじまりそうな内装だな。ほかにも誰かくるのかい」
「こないが?」
「あ、そうなのか。ちなみにきみの誕生日だったとか」
「ちがうが?」
「まあ、うん。この件には触れずにおこう」来客は相好を崩し、ソファに腰を沈めた。「で、話というのは何だろう」
「じつは折り入って相談があってね。まずはコーヒーでも淹れよう」
「お構いなく」
「話が長くなりそうなのでね」
いちどキッチンに引っ込み、コーヒーセットとカップをお盆に載せて運ぶ。途中で来客が手伝うと言ってきかなかったので、お盆を代わりに持ってもらった。
席に着く。
さっそくカップにコーヒーをそそぎ、差しだす。来客は受け取った。「ありがとう」
じっと見つめるが、なかなか口をつけない。
「で、話ってなんだろう」
「おっと、そうだった。それはそれとしてなんだが、そのコーヒー味はおかしくないか」早く飲んでほしくて急かした。まずはじぶんで飲んでみせる。身体に害はないぞ、と暗に示した。「鼻がきかなくてね。美味しくないかもしれない」
「どうだろうな。どれ」
「どうだ」
「うん。これといって妙な味はしないが」
「体調はどうだろか。何か気分がわるいとかはないかね」新薬は即効性だ。すでに脳脊髄液が干上がりはじめているはずだ。
「べつにいつも通りだ。なんだ、毒でも入れたのか」
「その通りだ」
「だと思ったんだ」
「驚いただろう。はっはっは――え?」
「予想はしていたよ。だからさっきお盆を預かったときに、カップの位置を入れ替えておいた。おおかたカップに毒を塗っておいたのだろう」
「まさか」
「どんな毒なんだ。まさか死にはしないだろ」
来客は余裕の表情でカップの中身を飲み干した。
あべこべに、ワガハイはなんだか視界が歪みはじめ、ちょっと身体を傾けるだけで、激しい頭痛が襲った。まるでムエタイの選手に頭を蹴られている気分だ。
「だいじょうぶか? 顔色が優れないようだが」
来客が立ちあがり、手を差し伸べてくるので振り払うと、勢い余って体勢を崩した。
平衡感覚が掴めない。
身体を支えきれずに床に倒れたところで、豆腐の潰れる光景がなぜか鮮明に想起された。
視界がぐるぐると回る。
まるで目玉が飛びだしたかのようだ。
否、まるで、ではない。
じぶんの顔がじぶんで見える。まさに目玉が零れ落ちているのだ。
薄れいく意識のなか、耳から、鼻孔から、眼孔からも、伸びた視神経の合間を縫って、どろりとした白い豆腐じみた物体が溢れだす。
3179:【2021/08/28*役立たずでごめんなさいの気分】
ツイターをはじめて三年目なのだけれど、ようやくさいきん安心して使えてきた感じがある。恐怖心が薄れてきたのがよい。でもなんでかプロフィールへのアクセス数が月10万とか超すので、それだけが怖い。フォロワー三十人もいないのにそこだけが謎である。毎日三千回もアクセスがあるのだ。プロフィール欄に何も書かずにいたからかな、と思って、今月に入ってからpixivのURLを載せたり、いもしない兄の動画を載せたりしてみたら、三分の一に減って、毎日千回のアクセス数になった。それでも今月すでに4万以上のアクセス数があるし、ときどきはやっぱり日に三千以上のアクセス数があって、謎である。かといってインプレッションはそれほどでもないし、動画を投稿しても再生数は百いくかいかないかなので、botが巡回しているだけなのかな、と想像している。ひょっとしたらみんなもプロフィールへのアクセス数は月にそれくらいあるのかもしれないし、むしろ10万は少ないほうなのかもしれない。とにかく、目立たずに、一方的に好きな表現を宝箱に詰めていく感じで、集めていく感じで、好きをいっぱいにしたくてツイターは利用しているので、宝探しみたいだし宝石採集みたいで、ただただ精神によい。ツイターは楽しい。いままでにイイネとリツイートしたイラストとか絵とか写真とか、文章とか、お歌とか、演奏とか、動画とか、とにかくいくひしさんが宝物認定したもの全部まとめて本にしたりアルバムにしたりして、手元に欲しい。ツイターに不満があるとしたら、過去のそういった履歴が溜まらないことで、分類して保存できないことだ。もっといろいろ管理して、宝箱をデコレーションしたい。とはいえ、どれもいくひしさんのものですらなく、観せて聴いて読んで楽しませていただいているだけなので、ほとほといくひしさんは恩恵を一方的に受けて、貪っているだけなのだよね。一人につき一つずつ、一生創作するだけで生きていける環境を寄付したい気持ちが募る日々だ。いくひしさんが全知全能でないことが悔やまれる。
3180:【2021/08/28*引き留める者】
(未推敲)
急な夕立に遭った。母に言われて折り畳み傘を持参していたので、軽く服が濡れた程度で済んだ。
一向にやむ気配がない。
雨宿りをするにしても、見たところ時間を潰せるような店はなく、そう言えば駅前のほうに喫茶店があったような、とメディア端末を操作しながら歩を進めた。
姉の三回忌だった。
親族で墓参りをしに足を運んだのは、私だけのようだ。それはそうだろう。姉と関わり合いを持ちたがる者がいたならば、そもそも姉は死なずに済んだはずだ。
過去を顧みるたびにパンパンに張った水風船にエンピツを突き刺す場面を連想する。憤りはいつでも破裂する準備が整っている。
雨が強まったのか、傘を持つ手に加わる重みが増した。音も大きく、バダバダと傘を打つ。
心なし周囲も薄暗い。
地図を起動し、画面を凝視する。電波の通りがわるいようで、これだから田舎は、と差別心を自覚しつつも内心でぼやいた。
端末の意味もなく振って、なかなか画面が切り替わらない苛立ちを誤魔化していると、
「ちょっとアンタ!」
遠くから怒鳴り声が聞こえた。誰かが叫んでいる。
振り返ると、半円にくりぬかれた光のなかに女性が立っている。彼女は手を大きく振っていた。「おーい、こっちこっち」
呼ばれているが、女性の姿に見覚えはない。
ふと周囲から景色が消えていることに気づく。ネオンの光を目にし、ああ、と思う。
いつの間にかトンネルのなかにいた。
通りで電波が届かないわけだ。
納得しながら引き返すと、入り口のところで女性が、だいじょうぶだった、と眉を顰め、心配そうに身体を寄せた。
「何がですか」
「だってあんた、この先通行止めだよ。土砂崩れがあって、危ないんだよ」
「あ、そうだったんですね。すみません。この土地の者ではないので」
「それにあんた、それ」
女性は傘をゆび差す。
釣られて私は折りたたみ傘を見上げた。
なぜか傘布に無数の穴が開いており、木漏れ日のごとく陽の光を通している。
耳の奥に、滂沱の雨じみた音がよみがえる。
バダバダ、と打ちつけたあれは、いったい何の音だったのか。
「ねぇ、それ」
言いながら女性が一歩退いた。
視線を辿り、私はじぶんの肩を見遣る。
雨に濡れたように、そこには泥のような汚れが布に染みている。いくつも斑に浮いている。
ふしぎと私の目にはそれが、無数に折り重なる赤子の手形に見えた。
私は女性に礼を述べ、こんどこそ駅前へと踵を返した。
別れたあと、すこし経ってから、あれ、と思う。
女性は、トンネルのなかへと歩き去っていた。
だがそのさきは通行止めではなかったか。
私は戸惑った。
女性のかんばせを思いだせない。
おぼろげな彼女の立ち姿に私はなぜか、いまは亡き我が姉の姿を重ね見る。
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参照:いくひ誌。【2181~2190】
https://kakuyomu.jp/users/stand_ant_complex/news/1177354054890657502