※日々コーヒーを美味しいと思ったり、思わなかったり。
841:【ろむさん】
ろむさん著の「放課後まで待てない〜ボッチ佐藤とエッチな小林くん〜」を読みました。きょねん「まふじくんはたかつきくんがおすき!」を購入していいなぁ、と思っていた作者さんです。ろむさんの作品にでてくるキャラは基本的に、変態性欲魔人です。ロマンスとかムードとかそういうのは二の次でとにかく本能に忠実に行動します。そして、その行動に呑みこまれていくキャラクターが対で出てきます。流されると言えばそのとおりで、嫌よ嫌よもスキのうちというか、嫌だけど既成事実ができちゃったので、仕方なくそれをいい思い出にしなきゃって、そうじゃなきゃやってられねぇよ、みたいな投げやり感が、いくひしは好きです。たぶん王道のBL好きな人には嫌われてしまいそうな物語を紡ぐ作者さんだなと思います。でもいくひしは好きです。いっそもっと突き抜けてしまえば、鬼才「はらだ」さんみたいに特定の人たちに突き刺さるのではないかな、と期待するものです。もっとも「はらだ」さんは、王道という岩を持ち上げて、その下に蠢くムシたちを描くような突き抜け方をしているので、真似するのはむつかしいだろうな、とは思います。ろむさんの、つぎの新作も楽しみにしています。
842:【しあわせ】
好きなひとがぼくの好きなものを好いてくれている。こんなしあわせなことがあるだろうか。相手はまったくわたしの存在に気づいてもいないけれど。俺はそういう一方的に味わえる至福が好きなんだ。
843:【得意分野からの脱却】
長年身を置き、ほかの追随を許さない知識と経験を得た分野ができたならば、それ以外の視野を持つ方向に尽力すべきときである。体系を築いた知識は回路として機能する。その回路に沿って導かれた答えに破たんを見出すのはむつかしい。一見すると整合性がとれ、真理に映ることがある。正解に感じることがある。他者に正解だと錯覚させることも可能だろう。そこが思わぬ落とし穴になる。破たんのない無矛盾な論理は、数々の破滅の道から目を塞ぎ、退き、ゆいいつの道を切り拓いている。しかし、もしそこから一歩でもはみ出すことがあれば、退けられ、山積みになった破たんの津波に呑みこまれるはめになるだろう。目をつむるのは構わない。よこに置いておくのもいいだろう。しかし、目をつむり、退けた事実から目を逸らしてはいけない。忘れてはならないのである。否、忘れてもよい。だがときおり思いだせるくらいの余裕を持とう。わかったかい、いくひし。
844:【わかったかい、じゃねーよ】
うっせばーか。
845:【ちがいます】
ツイッターもフェイスブックもインスタも、スマホへの乗り換えだって、できるものならしてみたいです。でもできないのです。いいえ。じっさいにしてみたところで今抱いている虚しさが倍々で大きくなっていくのだろうなと予感できてしまうので、どうしても踏みだせないのです。そちらはどうしても「まえ」に思えないのです。踏みだしたけっか、深淵に呑みこまれてしまうのではないかと、割と本気で、すこし冗談で、思います。憧れには触れたくないの心理にちかいのかもしれません。がっかりしたくないのです。
846:【うまくしゃべれない】
目も耳も手も足も、鼻の穴だって二つずつあるのにどうして口は一つしかないのだろう。ぼくとわたしと俺やあたしだってしゃべりたいのに、出口で詰まって、うまく言葉がでてこない。肛門があるよって、そういうことじゃないの、いくひし、あなたは黙ってて。
847:【ルービックキューブ】
ルービックキューブみたいな物語をつくってみたい。まったく異なるいろいろな物語がカチカチカチと組み合わさってどこかイビツさを残しながら面となっていき、最後に、固まった大きなブロックがカッチ、カッチ、カッチ、と結合して、きれいな正六面体が揃う、みたいなの。十万文字以内でつくれたらいいなぁ。つかう物語はすくなくとも4×6+6で30個。ぜったいに楽しい。
848:【うそだろ】
ひゃ、ひゃ、ひゃくにちかんが終わってしもた。那多ここねさんのマンガ「ひゃくにちかん!!」がWEB連載で最終回みたいになってた。あっさりした終わりだった。おめでたい、おめでたいが、なんかこう、すなおによかったねぇってなれない。 もっと読みたかった。いでよシェンロン、すこし値が張ってもよいので最終巻におまけマンガたくさんつけてください。
849:【センスがいい】
小雨大豆さんがWEBマンガで連載開始するらしい。柳田史太さんの「トモちゃんは女の子」やNOBELさんの「妄想テレパシー」が連載中で、さいきんだと短期集中で安田剛助さんが「草薙先生は試されている。」を連載していた出版社だ。作者チョイスが絶妙すぎる。文芸のほうは、作者としての嫉妬も混じって、「どうなんそれ」と思ってしまうけれども、マンガセンスはほかの出版社より頭一つ抜きん出てる気がする。現在進行形で短期集中連載を行っている、うさみみきさんは知らない作者さんだったけれどもおもしろいし、谷川ニコさんの「クズとメガネと文学少女(偽)」も連載だけは追っている。連載終了しちゃった 山本蒼美さんの「この男子、シェアハウスで小説書いてます。」も好きだった。こちらは近所の書店さんでいつまで経っても単行本を仕入れてくれないので未だ購入していない。アマゾンの出番かもわからない。そうそう。可能であればぜひとも連載陣に「天原帝国」さんを引っ張りこんでほしいとひそかに望んでいる。きっとすでに企画案は出されているだろう。うまく通ってほしいとやはりひそかに望んでいるいくひしなのでした。(思えば小雨大豆さんはデビュー作が講談社BOXだったのだ、忘れてた)
850:【どうしても触れたニーナ】
ヨネダコウさんの漫画「どうしても触れたくない」を読みました。ジャンルはBLです。極上です。極上にリアルで、紙一重でドラマチックで、胸が、くとぅん、くとぅんします。いくひしがどうあがいてもつくれない物語、キャラクターで、主人公嶋くんの懸想するお相手、外川さんの「あーいるいる」って感じの造形と、「あー、好き好き」ってなる包容力が、けた外れの描写力、そしてセリフ力によって質感を伴って訴えかけてくる。デビュー作(初めてのコミック)とあるが、ぜったいにウソだ。こんなの長年プロで活躍してるひとでもそうつくれるものではない。とんでもない作家がでてきたなー、とうれしい反面、悔しさと、そのあまりにかけ離れた才能の差に、もはや笑うしかない感じが、くすぐったい。デザートを食べたい気分だったので、イトカツさんの「銀のニーナ11巻」を読んだ。はぁーーー。癒される。いなさそうで、あーいるわぁ、っていう純粋少女のお留守番ものですね。さいきん流行りというか、いくひしが好きなジャンルの、独身男だけど女児を預かりました系の物語なのですが、飽くまで視点がニーナちゃんなのがよいと思います。こんな無垢なコいないよなーって思いそうで、でもいるわーこういうコ、っていうギリギリのラインがなんちゃらかんちゃらって、もう同じことで三時間くらいしゃべれそう。好きなんです。悪が無条件降伏しそうなくらいのよいコ。共感できる物語もよいけれど、やっぱりないものねだりを体験できる物語のほうが、いくひしは好きなのかもしれません。どっちもよいものだけれどもね。物語はよいものだ。価値がないところがとくによいと思う。本当に価値のある物語は、人から人に語り継がれていくものだから、価値があるほど、(あるところを境に)価値がつかなくなっていく、そういうものだと思います。(※ヨネダコウさんの「どうしても触れたくない」の奥付を見たら、初版発行日が2008年になっていた。信じられない。いくひしがまだ小説(のおもしろさ)と出会う前に出版された漫画だ。こういう十年単位でまたにかけた出会いがまだまだあるんだろうなって考えるだけでワクワクしてきますね。してくるんです。します。するの。いいでしょいくひしの勝手なんだから。きみはすぐそうやってダイナシにする。いくひしのいい気分をダイナシにする。もう口きかない。反省して)
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参照:いくひ誌。【251~260】
https://kakuyomu.jp/users/stand_ant_complex/news/1177354054882226727