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いくひ誌。【831~840】

※日々何かを成し遂げようとしてはいつまでも辿りつけない、進んでもいない、日々の履歴がただ積み重なっていく。


831:【モブ子の恋】
田村茜さんの「モブ子の恋」を読みました。いいひとしかでてこないだけでなく、みんな好き。ルームシェアした五年後編とか読みたい。モブ子の魅力も反則的だけど、お相手の、胸にくる感じもすさまじぃものがありますね。澄んでいる。線みたいにしーんってしてる水面に一滴だけ水が垂れて、波紋がどこまでも広がっていく、まるで洞窟のなかで響いた砂利を踏みしめる音が、夜寝るときに耳のなかでまだ鳴っているみたいな心地よい浸透ぶりが、この漫画にはあります。絶賛とかじゃなく、これを批判するような人とは仲良くなれないな、って偏見百パーセントが構成されてしまう、酸素みたいなマンガです。酸素だって薄ければ薄いほど猛毒になりますからね。濃くない、澄んだ物語にだけ宿る猛毒があります。読むときはお気をつけください。


832:【2017年新作情報】
ことし創作した小説一覧です。「血と義と花のモノガタリ(万妖衆「血編」)https://kakuyomu.jp/works/1177354054882447768」「この女、神(万妖衆「女編」)https://kakuyomu.jp/works/1177354054883392868」「オタマジャクシのままでいたいhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371」「陰の薄いあのコの影になれたならhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054884104981」の四作品です。文字数が順におおよそ、11.5万、6万、3.5万、6.5万となります。ほかにも掌編を14編ほどつくりました。いまとりかかっているのは仮題ですが、「雷獣、そらに昇る」「哀緒紅の述懐」のふたつで、それぞれ進捗文字数が7.7万と1.2万です。完成するころには11万と4万文字になっているはずです。ほかにもつくりかけの掌編がパラパラとあるようで、すこしずつ進んでいます。効率のわるい創作方法ですが、つぎにつくる長編のために必要な試行錯誤の一環だと考えています。がんばってほしいですね。本当は一気呵成につくるのが性に合っているのでしょうが(たとえば「網膜の住人~仮想世界に魔法をねがい」や「暗黒舞踏団~踊り屋たちの囮か愛」は共に一週間で脱稿させました)。ほかの作品も二か月以上をかけたことはありません(例外として「血と義と花のモノガタリ」は一年がかりでした)。記憶力がわるいので、長期間同じ物語と向き合うことができないようなのです。時間が空くほど、前半の内容を忘れてしまいます。そのつど読み返さねばならなくなり、無駄に時間だけが嵩みます。なんとか12月までにあと一作、長編をつくってほしいな、とぼんやり考えています。予定を立てるのが苦手なイクビシマンでした。


833:【ペイピ】
母親認定書の発行が義務付けられた。ペイピが大流行したせいらしい。母親になって赤ちゃんを抱っこするためにはタクシーみたいに、わたし母親ですよーのマークを腕に付けなければならない。腕章というやつだ。色は選べるもののどれも蛍光色で、遠目からでもハッキリ見える。裏から言えば、腕章をつけていない人で赤ちゃんじみた物体を抱っこしていれば、十中八九そのひとの抱いているものはペイピだ。クラゲの遺伝子をいじくって生まれたそれは偶然の産物らしいが、ともかく、赤ちゃんじみた外見をしていて、成長しない。食べない、死なない、クソをしない。そのくせ見た目が赤ちゃんで、全身くまなくぷにぷにとくれば、売れないわけがない。女性だけでなく男性であっても購入できる。とはいえ、父親でもないのにペイプを持つ男性陣への視線は冷たい。男女差別だなんだと一部では騒がれてはいるが、父親認定書の発行は一向に義務付けられることはない。やはり女性がそれをぬいぐるみのように手に入れるのと違って、男性はひそかに、こそこそと世間の目に触れないように購入するらしい。婚約者がペイピを飼っていたと知って婚約破棄した女性たちを報じるマスメディアはすくなくない。社会問題とまではいかないが、それなりに話題になっているのが現状だ。ルポライターのはしくれとしてわたしもペイピを入手した。これはその記録だ。ペイピがもたらす生活の変容と、その問題点を詳らかにしていこうと思う。ちなみにこれが世間に記事として出回ることはないと考えている。なぜか。わたしは売れないルポライターだからだ。趣味で書いた文章に値段がつくほど希少価値は高くはない。一日目。まずは注文したペイプが届く。(つづきはこちらにて→https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371/episodes/1177354054884322884


834:【疑似相関】
まったく関係のない事象同士でもデータ上では相似の関係で数字が線を描くことがある。単なる偶然であるため、これらは疑似相関と呼ばれる。たとえば、年収が高いと既婚率が高くなるというデータがあるとする。年収の高さと既婚率に正比例する関係性が見いだせた。しかし、既婚率が高くなる要因が、年収にのみあるわけではない。年収が高くとも未婚の者は相当数いる。ゆえに年収の高さと既婚率の上昇に因果関係はない。ただし、何らかの関係はあるようだ。それを、傾向と言い換えてもいい。これを相関という。年収が高いと、異性をデートに誘うための資金、また将来への安定性が高くなり、結婚したあとの生活のヴィジョンを思い描きやすくなる。出会いの場数、そして未来への展望の有無により、年収が低いよりも高いほうが、異性と結婚しやすくなる。確実ではないが、なんとなくそうなりやすい、という流れのようなものが観測できるだろう。ただし、もし年収の高さと鳥の糞がひとの頭に落ちる確率が、正比例の関係性にあったとしても、そこに因果関係や相関関係を見出すことはむつかしい。人間の年収と、鳥が糞をする場所に接点がないためである。無関係なもの同士に関連性は見いだせない。この場合、疑似相関だと言っていい。ところが、よく調べてみると、鳥はスーツの素材が高級になるほど、それを上質な巣だと勘違いして近づいてしまう、という習性が確認された。よって年収が高く、年中スーツを手放せない生活を送っている人間は、ほかの大多数の人間よりも頭上に鳥をおびき寄せやすく、結果、頭に糞を被りやすくなる。これが正しい場合、それはもう、疑似相関ではなく、相関関係である。一見疑似相関に映っても、よく調べてみると、ふたつを繋ぐ触媒が見えてくることがある。なぜ風が吹くと桶屋が儲かるのか。なぜ蝶が羽ばたくと台風が起きるのか。結果だけを取りだし、比べるだけでは見えてこない関係性がこの世には溢れている。否、この世に内包されている以上、まったくの無関係ということはありえないのである。ただし、人間が生活するうえで体感できる事象の大きさは、極めて小さく、断片的なものである。きのう口にしたハンバーグに、将来、人類の存亡を決定づける花の種子を構成する物質が含まれていたとして、それをあなたが気にする必要はなく、それに気づくこともまたできない。或いは、きょう身に着けているその服が、百年前に命を賭して農園を維持した奴隷がいなければそこに存在し得なかったとして、それをあなたが気にする必要もない。ただし、巨視的に世界を眺めることで観えてくる相関関係というのは確実にある。一見するとそれは、単なる妄想に映ることもしばしばだ。しかし、あなたに第三の仲介点が視えているかぎり、それは偶然ではない。もっとも、相関関係は逆説が成立しない。結果を変えたいからといって、仲介点を消したとしても、何も変わらないことは往々にしてある。煙を消したいから火を消すようにはいかないのである。そういう意味で、複雑系には自己回路修繕能力があると予想される。複数の要素によって成立する相関関係には、ある種の欠落を埋め、補完する性質があるのだ。


835:【わるぐち】
当りまえのことかもしれないが、悪口には発言者の差別意識が反映されている。そのひとがどんな悪口を言うかで、どんな人たちを差別しているのかが判る。「ハゲ」「デブ」「ボケ」「ホモ」「もやし」「ニート」「ビッチ」「ジジィ」「ババァ」「チビ」「ぺちゃぱい」たとえ冗談で口にしたとしても、それら言葉の背景には差別意識が潜んでいる。ひるがえっては、差別意識の薄いひとは、悪口を言えない傾向にある。なぜそれが悪口になるのかが分からないからだ。


836:【NEWTUBER(ニューチューバー)】
ぶぅん、ぶぅん。イカリングTV~。はーい、というわけでですね、人気YOUTUBERの物真似から入りましたけど、似てた? あ、そう。言わなきゃ気づかれないってそうとうですよコレ。きょうはですね、さっそくですが、2000年後の地球に行ってみたいと思いまーす。前回の放送だと逆にね、逆に2000万年前の地球に行ってみたんですけども、もう観た? 観てない? あらー。ここでオチを言ってしまうのももったいない気がしないでもないですけれども、話をサクサクっと進めていきたいので言ってしまいますけれども、はい。窒息死。爆笑~。ぶぅん、ぶぅん。着いた途端に窒息して死んでしもうたー、空気くれー。場所がよくなかったみたいでね、え~、何もできずに戻ってまいりました。あってよかったクローン技術。脳死状態でも外部記憶装置(バックアップマインド)のおかげで設定さえしていれば、このと~り、問題なく復活できるわけですね。言うてもしょせんはクローンですからね。まぁワタクシも、どぅふふ、きょうは死ぬ気で、あっここアップでね、カメラ持ち上げのひょ~い、死ぬ気で、行ってまいりますよー、はい、カメラはこのままハンディカムでね、手ブレ補正は万全ですからね、アイーンなんつって、はい、着きましたっと。みんな大好きタイムマシン。(つづきはこちらから→https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371/episodes/1177354054884328530


837:【肉体疲労】
疲労のほとんどは脳からくるらしい。でもいくひしの場合はほとんど身体や。バッキバキやで。背中とかバッキバキや。


838:【性格】
過去の「いくひ誌。」読んでみたら、くっそ性格わるいなコイツ、としか思えなかった。くっそ性格わるいなコイツ。


839:【うぬぼれ過剰】
誰も見てないだろうから好き勝手なこと撒き散らしてるけど、ひょっとして誰かが読んでるかもしれないと想像するとおそろしいな。小説はいいけど、エッセイはよくない。つぶやきなんてもってのほか。こわい。


840:【とぅきー】
成人向け漫画家さんのディビさんが好きです!


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参照:いくひ誌。【441~450】https://kakuyomu.jp/users/stand_ant_complex/news/1177354054883045527

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