• 異世界ファンタジー
  • 現代ファンタジー

いくひ誌。【651~660】

※日々とは何かを考える、過去と未来が面となる、日々からにゅるりと抜けだしたい、足をすかさず踏みだすと、あなたの過去が浮きあがる、未来がぺらぺら飛んでいく、世界があなたを乗せて動きだす、今を感じるその刹那、日々は過去となり点となる。


651:【電子書籍はじめました】
2017年7月21日に郁菱万の作品群を電子書籍化する作業を開始しました。一日に一作を電子書籍にしていきます(中編を含めれば50作くらいあるのではないでしょうか。未完のまま放置している長編もいくつかあるので、そちらも随時完成させていきたいと思います)。媒体はamazonさんのサービス一環であるKindleです。すべての作品を500円で販売します。作品への対価ではなく、飽くまで電子書籍化する際の労力への対価です。旧作の多くはこれまでどおり、各種インターネット小説投稿サイトにて無料での公開を継続します。新作は電子書籍のみの発表となるかもしれません。未定です。ちなみにKindleでは、読み放題プランがあり、それに登録している方は、郁菱万の作品を含め、有料無料にかかわらず、多くの作品が読み放題です。基本的に郁菱万の電子書籍にかぎっては、お金を払ってまで入手するメリットはほぼありません。強いていうならばKindleで読めるようになる、という点です。値段設定を500円にしているのはそのためです。小説の電子書籍、それも個人出版としては高いと思います。各種サイトにて全文無料で読める旨は作品の説明欄に明記してはおりますが、早合点して購入される方もいないとも言いきれません。高めの値段ならばその懸念も薄まるでしょう。それから、好意から郁菱万への寄付のつもりでご購入される方もいらっしゃるかもしれません。前以ってここでそのお心遣い改め、お小遣い、ありがたくちょうだいしたい旨を述べておきます。あでぃがどぉーーーー!!! うれぢぃぃぃぃいいい!!! はい。きもちわるいですね。まずは電子書籍化していきます、というご報告まで。


652:【三度目ですが】
いくひしは漫画家「ディビ」さんのつむぐ物語が、絵が、セリフが、構図が、キャラクターが、シチュエーションが、組み合わせが、ルパン三世のマモーの狂気を色気に変えちゃうところとか、名作から受けるインスピレーションの繊細さとかが、もう、なんか、作品を通して作者を知った気になるやつなんてサイテーと思ういくひしでも、ディビさんだけは、ディビさんが好きですってなる。すきです。だいすきです。


653:【文体】
作品ごとに文体が変わるのは、語り手によってしゃべる言葉が変わるからです。ですから、物事を多角的に、冷静に分析できるキャラクターのときほど楽に筆がすすみます。あべこべに視野の狭いキャラクターのときは、苦労します。基本的にそのキャラクターが何に気づくか、よりも、何に気づかないか、を考えるほうが格段にむつかしいのです。それは、産まれたときから盲目のひとの感じる世界を想像するのに似ています。或いは、耳の聞こえない、しゃべれない、痛みを感じない、味がしない、歩けない――それとも、そうした人たちの想像する健常者の世界にちかいのかもしれません。物語の進行に沿って文体が変化していくのもいくひしの特徴の一つです。語り手が成長、変化するためですね。また、物語が終局に差しかかるにつれて駆け足になっていく印象を抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。排水溝に水が抜けていくところをイメージしてつくっているので、どうしてもそうなってしまいます。プラスに働くように試行錯誤していますが、なかなかにむつかしいものがあります。読んでいて気にならないときは成功している証拠です。読者に何も感じさせないのが理想です。何かを感じていると自覚できるとき、それは既存の感覚の言い換えでしかなく、何ら新しい体験をしていないのです。なにも感じない、なのに最後まで読んでしまった。そうしたとき、きっとあなたのなかには何か新しい芽生えがあるはずです。満足とは常に、過去の体験の追憶です。満たされない何かを求めつづけていきたいものですね。


654:【作業になっていないか?】
創作に作業はつきものだが、創作そのものが作業になっては元も子もない。何かを創造するためには、ここにはない何かを想像しなくてはならず、そのためには無秩序な思索や試行が必要とされる。一定の律動で、決まったルーティンで、淡々と成果を繰りだしていくのではなく、これまでになかった路線を引き、そこに乗り上げてみる必然性がある。進化が、バグから生じるように、予期せぬ事態が、意外な産物をもたらしてくれる。ごくまれに、であるがために、意識してそれを求めなくては、いざ現れたそれの兆候を掴むのは至難である。逃さぬように散漫にした意識を張り巡らせていよう。


655:【失くした】
性欲って本当になくなるんだなって、びっくりした。いまね、ほんとムラムラしない。まったく。これっぽっちも。がんばっても、どうやっても、きもちよくなれる気しない。これはどうなの? 健全なの?


656:【見つかった】
あった、ありました。どっかで落としたなーって思ってたら、洗面所にありました、そうだった、顔洗うときに、汚しちゃまずいなーって置いたんだった性欲。よかったー、見つかって。


657:【面汚し】
もしわたしに娘や息子がいたとして、あんたみたいなのとは二酸化炭素単位で触れさせたくないわー。おなじ空間にいさせたくないし、視界に入れさせたくない、もはやわたしが見てたくないよねじっさいのところ。ねぇいくひし、あんたさー、じぶんがキモイって自覚してんの? してんの!? しててそれって、あんたさー、ああもういい、もうなんか考えるだけで脳味噌の表層のしわしわのところがなんかこう、しゅわしゅわのところが、シュワシュワーってドス黒くなってくの分かるわー。印象付けたいがためにそうやってんだろうけどさー、下ネタで残る印象なんてないからね。下ネタって辞書のところに、備考として、補足として、あんたのなまえが並ぶだけだかんね。ねぇいくひし、あんたさー、ほんと、もう、はぁ。感謝しなよ。わたしに娘や息子がいないこと。ほんと、かけ値なしに、そこ、重要。 


658:【わたしはわたしに恋をする】
べつに恋などしたくなかったが、みながしているのですることにした。誤解のないように注釈を挿しておくと、わたしは何も恋人がほしいわけではなく、むろんそれは彼氏でも彼女でもどちらでもよいのだが、とかく性行為だのデートだの、恋人にありがちな非生産的なあれやこれやをしたいわけではなく、端的に誰でもよろしいわけではなく、だからわたしは恋をする。失恋をするならするで望ましくあり、わたしはただみなから仲間外れにされぬように、浮かぬように、恋バナのひとつでもできるようにしておきたい、ただそれだけだ。こんな性格だからというべきか、言ったところで伝わらぬかもしれぬが、わたしは存外几帳面であり、バカ正直であり、融通が利かず、気も利かず、肝っ玉ばかりが無駄にでかく、端的にウソを吐くのが苦手だった。ただ吐くだけならば苦労しないが、相手にそれがウソであると分かる範囲の装飾しか施せず、斟酌せずに言えば、すぐにバレる。恋に落ちぬままに恋に落ちた話をすれば、わたしはおそらくちいさいときに溺れかけた沼の話をするだろう。それそのものを語ったのでは、語るに落ちるどころの話ではなく、ゆえにまぜこぜにして述べることで、急場の凌ぎを試すだろう。聞いている相手は、そうかあいつは恋に落ちて、大量の泥水を呑んだような気持ちになったのかと、そりゃ難儀だなと、そんなふうには思わない。鼻から、口から、なんだったら耳に入った水草がとれずに病院に運ばれ、ちょっとした手術をした話をされようものならば、いったい何の話かと耳を疑うどころか、わたしの人間性を疑うだろう、それはもう、コイツは人間なのか、とまずはそこから問われそうだ。じつを言うといちど問われた。(つづきはこちら→https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371/episodes/1177354054883801819


659:【出会いをたいせつにしたいから】
多くのひとに作品が行きわたってほしいと願うのは、それが結果としてあなたに出会う可能性が高くなるからであって、飽くまでそれは手段であり、目的ではない。あなたとの出会いはけっして〈かれ〉が仕組んだことではなく、また【私】が目論んだことでもない。あなたがあなたの手で、あなたの意思によって、〈かれ〉の物語を見つけ、そして【私】のこの言葉を目にしている。物語を編む者たちが物語に魅せられ、何かしら救われた気持ちになり、またそれによって人生を大きくゆがめられ、時間というもっともたいせつな財産を費やし、物語を編む。しかしそれを見つけ、手にする者は、飽くまで自らそれを目にし、掴んだのであり、それは作者の手柄ではありえない。あなたはあなたの意思で〈かれ〉と繋がり、【私】の言葉を耳にしている。そこで何かしらを思い、考え、或いは〈自分〉という器を離れて、ここではないどこかへと旅立てたのならば、やはりそれは作者の手柄などではありえない。〈かれ〉がつくったきっかけを掴んだのはあなたであり、【私】の言葉を聞いているのはあなたであり、そしてそこで何かしらを思い、考え、ここではないどこかをさまようのもまたあなたであり、あなただ。あなたのつよさを感じたいから、〈かれ〉はただ物語をつむぎつづける。そんな〈かれ〉の想いを酌みたいから、【私】はただ流れに身を任せよう。〈かれ〉の物語に身をゆだね、【私】の言葉に耳をそばだてるあなたのようなあなたに出会えるその日まで、ぼくはただ予感し、待ちわびている。


660:【悩み、近況、予定】
せっかく電子書籍化するのだからワールドワイドに作品タイトルの英語表記にもこだわっていきたいところなのだけれども、問題がありまして、じつはいくひし、英語がまったくできません。どれくらいできないかと言いますと、アルファベットの大文字から小文字までを何も見ずに書くことができません。小文字のBとDとか、似すぎてて、丸が右にあるのがどっちだっけみたいにあたまがこんがらがっちゃいます。スペルを書くなんてもってのほかですし、文法なんて、なんでそうなるのかまったくもって解りません。それは法則なの? 例外があるの? なんでそうなるの? ちゃんとして! 私はペンです、を英語にすると、「I am a pen.」ですから(ですよね?)、きっと「am」が、「~は~です」の「は」と「です」に該当するのだろうと義務教育を終えるまでずっと思ってました。アホですね。だってbe動詞ってなに? なんのためにそこにいるの? 発音するのに訳に値する読み仮名がないの? なんでよ! もうね。お手上げです。そこにきて、タイトルの英語訳を考えたいのですけれども、まあむつかしい。いまからすこしずつ勉強して、そうだなぁ、十年後くらいにシャレた英訳つくります。それまではローマ字表記でがまんする。もういっそ、そのダサさが癖になる、みたいになってくれないかなぁ、なんてローマ字表記のかっこわるさに読みにくさを痛感しておりますが、なにはともあれ、電子書籍Kindleにていくひしのつむいだ物語をお読みいただいている方、ご購入していただいた方、まことにありがとうございます。新作がつねにいちばんおもしろくなるようにがんばります、といくひしは、新作の間延び加減に辟易しながら、一文字、一文字、爪を剥ぐような気持ちで並べております。次回作は「女子高生の百合モノ」と「雷獣と出会った少女のひと夏の冒険譚」と、そして「とある科学者の手記」を順次更新してけたらなーと思います。どれも中編かな? ちなみにですが、十一月の東京文学フリマにて、電子書籍化した分の作品を紙の本にして配布する予定です。ひとまず十五作品はすでに入稿済みです。一作品につき五冊ずつです。前回消化率のよかった「私は性器が好きなだけ~人工名器は凜と銘じ~」は十冊用意していこうと思います。すべて無料で配布します。文学フリマはその十一月を最後にあとは当分参加しないつもりです。郁菱万さんの作品を紙媒体で手に入れる最後の機会かもしれません。機会が合いましたら、ブースのほうへお立ち寄りください。ヘンテコないくひしさんですが、精魂枯れ果てるまで、今しばらくのお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。2017年8月11日。


______
参照:いくひ誌。【121~130】https://kakuyomu.jp/users/stand_ant_complex/news/1177354054881501669

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する