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いくひ誌。【621~630】

※日々死にいく細胞を気にも留めない我らに、社会を責める道理はあるのだろうか。


621:【時限装置】
フロンガスが日本で放出されなくなってからそろそろ十五年が経つ(フロン回収破壊法が2002年に制定された)。オゾン層を破壊し、二酸化炭素の数千倍の温室効果のあるフロンガスは、比較的ゆっくりと上昇していく。オゾン層に到達するまでに十五年から二十年かかると言われている。すなわちげんざいオゾン層を破壊しているのは十五年~二十年前のフロンガスということになる。大気中に放出された全体の、それは十数%とされている。オゾン層は宇宙からの紫外線を濾すフィルターのような役割がある。フィルターに穴が開けば、そこから降りそそぐ大量の紫外線が生物に看過できない規模での影響を与えると予見される。もっとも、オゾン層が部分的に破壊されても、残ったオゾン層が紫外線を吸収してくれる。人間には直接の支障はないかもしれない。とはいえ海面のプランクトンには大打撃だ。これからの五年は異常気象というよりも、環境そのものの大規模な変容が懸念される。時限装置のタイマーがゼロになる日はちかい。(オゾン層破壊の性質を持ったフロンを特定フロンと呼び、その全廃は2020年と規定されている。オゾン層を破壊しないが温室効果のあるフロンを代替フロンと呼び、その全廃は2030年とされている。いまなお代替フロンは冷却剤として使用されている。ちなみに特定フロンの分子一個につき、十万個のオゾン分子を連鎖的に破壊する。特定フロンが紫外線と反応し、分解され、そこから飛び出た塩素原子がオゾンを破壊するという図式だ)


622:【アクセス】
あの領域にアクセスできる人間って僕が思うよりもずっとすくないのかもしれない。


623:【アクセル】
ウイルスをはじめとする生命の定義は大きく変わろうとしている。生物の外界認識についての研究が深まれば、さらに生命という言葉の意味そのものが揺らぐだろう。細菌やウイルスは外界の世界をどのように感じているだろうか。すくなくとも外部刺激を経て、何かしらの反応を示す。自己と非自己を区別している。しかしそれは原子がほかの属性を持った原子と化学反応を起こすのと変わらない。変わるとすればでは、何が違ってくるだろう。原子は外部刺激を折衷しないわけではない。任意の刺激には同様の反応を示す(※)。細菌やウイルス、ひいては人間と同じだ。それを外部認識していると見做さない根拠は何か。人間を基準にして考えるからややこしくなる。まずは生命を根本から定義づけなくてはならない時期にさしかかっている。時代の流れは加速している。(※、或いは、任意の刺激に対して多様な反応を示すものが生命と呼ぶべき複雑さを宿すのかもしれない。では素粒子はどうだろう?)


624:【~~界の伊坂幸太郎】
https://www.youtube.com/watch?v=d2ycwZZzLw4
1:50~https://www.youtube.com/watch?v=YbLGDx4HWXI


625:【こぞって】
あたしの周りのやつぁなんだってあたしに言及すると決まって、「もっといろいろやったほうがいいよ」「ほかのことも経験してみなよ」なんて言うのかねぇ。そんなに何もしていないように映るかねぇ。すくなくともあたしより自分らのほうがたくさんいろんなことを経験してたくさん考えていると思っているのだろうなぁ。真実そうかもしれんので否定はしないよ。


626:【違和感】
「周りのやつ」がどうこうと、いくひし、きみはぼやいているみたいだけれど、落ち着いて。いいかい? きみの周りにいったい誰がいるというのかな。ぼくの知るかぎりにおいて、きみに交友関係のある人物はいないよ?


627:【んなぁー】
先月、すなわち2017年6月につくしあきひとさんの漫画「メイドインアビス1~5巻」をまとめ買いしました。大判コミックなので一冊千円くらいして(そんなにはしない)五千円が財布のなかから旅立ちました。代わりにすばらしい「んなぁー」が手に入ったので、お得な買い物だったと自負するものです。すばらしい「んなぁー」が詰まっています。アニメ化したようなので、どんなかわいい「んなぁー」が聴けるか今から楽しみです。んなぁー。


628:【編集者】
文芸の編集者でいちども長編小説を書いたことのない人ってどれくらいいるんだろ。個人的にはいないとは思う。もしいたら、一回くらい長編をつくってみるといいと思う。というか社内でそういう研修をしたらよい(時間をとったらよい)と思う。小説と漫画くらいではないだろうか、プレイをしたことのない人物がセコンドにつくのは。(上手にできる人間以外は作品に口をだすべきではない、という話ではない。すくなくとも「実際にやってみた経験がある」のと「ない」のとでは、紡がれる言葉がちがってくるのではないか、という話だ。まずは素人になってみたらよいのでは?)


629:【同時性はない】
何かを言うとするでしょ? 今この時点では反感を買うかもしれない言葉でも、未来からするとそのときに誰かが言っておかなきゃならないことってあると思う。だから反感を買うことを承知で、いろいろ言葉を遺しておくね。何かを言うことで失うもののある人の代わりに(言い換えると、いくひしに失うものはない)。


630:【耐性】
選挙の争点やSNSなんかもそうだけど、いっかい常識と非常識の一線を越えてわーってなったあとに、臨界点が強化されて、もうその程度のことではわーってならなくなるの、生物の集合もまた生物なのだなぁ、と感じ入る。


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参照:いくひ誌。【361~370】https://kakuyomu.jp/users/stand_ant_complex/news/1177354054882714381

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