• 異世界ファンタジー
  • 現代ファンタジー

いくひ誌。【561~570】

※日々は死ぬまでつづく幻影であり、死を忘却しつづけるための劇物である。


561:【あーだこーだ】
いちどついた錆を落とすには、素材から削り落とすのがいちばんだ。洗うのではなく、磨く。一回りちいさくなってしまうかもしれない。消えてなくなってしまうかもしれない。しかし錆びついたままでいるよりかはマシだ。


562:【エゴサーチ】
2017/5/7にあった文学フリマ東京でいくひしは自作を無料配布した。ひと月経ったきょう、ツイッターでエゴサーチをしてみた。もののみごとに反響ひとつない。安心した。予測ではひょっとしたら一件くらい引っかかるのではないかと危惧(期待)していたが、杞憂で済んだ。狙いどおりの層の手に渡ったのだと判断する。まだ読まれていない可能性もあるが、それはそれで仕込んだ種が芽吹いていないだけだと解釈する。なぜ反響がないほうがいいのか。これはすこし語弊があり、ネット上に感想をつぶやかない(或いはつぶやけない)層の手に渡った。これが重要なのだということをヒントとしてここに述べておく。今のところいくひしの狙い通りにことは進んでいる。虚勢かどうかは一年以内に自明となるだろう。目に映る反響はそれはそれでたいせつだが、気軽に感想を述べられない状況や作品というのはそれはそれで価値がある。情報社会の現代において個人的には後者のほうをより重視している。じりじり進行しているものほど根は深く、脅威と驚異を秘めている。それは病や反響も同じである。(もし感想をつぶやかれている方がいらっしゃったならあなたさまは天使なのでそのまま人間界の確執などお気になさらずにお過ごしください)


563:【気にしないで】
つよがってるだけ。気にしないで。


564:【ちがうから! ちがうから!】
つよがりとかじゃないもん、ホントなんだもん、いくひしがなるっていったらなるの! そうなんだもん!


566:【ぶー】
願望と予測をごっちゃにするのよくないよ。こうなったらいいなぁ、と、こうだからこうなる、は違う。たとい根拠に映ったとしても、水面下で進行している「提示しようのないモノ」を憑拠にするのは、それがたとい傍証に挙げたくなるようなものであっても、俎上に載せてはいけないんだ。なぜいけないのか、と問う向きには、じぶんにとって損でしかない、と応じよう。


567:【またたく間に解く】
問題が生じていないうちからその問題の種を払しょくする。これは、無数にある問題の種のうちからもっとも看過できない「導火線つきの火種」を見つけるようなものである。導火線のさきにある爆弾の在り処を知っている者ならば造作もなく見つけられるだろう、事件で言うなればそれは犯人ということになる。しかし第三者がその火種を見つけるためには、同様にほかの無数の「問題の種」の行く先をすべて確認せねばならない。AIの自立思考の隘路となっているフレーム問題と似た構造がある。何が見逃せない種なのかを区別するためには、ほかの種をすべて把握しておかねばならないわけだが、それは現実的ではない。では爆弾に火が届くまえにどうやって火種を消せるのか。類例を用いるか、或いは、爆弾を見張り、火の気配を根気強く待ち受けるほかに有用な術はない。直感を用いた推測は、単なる願望である。いっそ勘で済ましたほうがかえってリアリティレベルの統合がとれる。


568:【アドラー心理学】
目的論と言えば、アドラー心理学でもっともポピュラーな単語の一つだ。トラウマを否定するアドラー心理学は、人が何か行動を起こすのは(或いは起こさないのは)、原因があるからではなく、何かを成し遂げたいからだとする目的に主眼を置いた。何かをしたいがために、過去のできごとを持ちだす、じぶんに言いわけをして、目的のための動機としている。アドラー心理学ではそのように説き、病める人々を光へと導く。しかしこれは飽くまで、じぶんがじぶんに言い聞かせるべき論法であり、いわゆる処方箋である。他人が無理強いしていい論法ではない。おまえはおまえがそうしたいからそうしているのだ、過去に原因などはない、おまえの気の持ちようだ、というのはあまりに乱暴だ。仮に目的論が正しいとしよう。だとしても、じぶんを騙すための過去がなければ、人はじぶんに言いわけをすることができない。たとえ仮初であったとしても、原因がなければ人が間違った道を歩むことはなくなるのだ。過去に囚われ、光を見失った者への処方箋としては有効な目的論ではあるが、物事の本質的な解決策を求める者には不足である。万能ではないし、真理でもない。そこを履き違えないように、用法容量をきちんと守って使っていこう。


569:【その調子】
がんばれがんばれ! きみは天才だもの、がんばれがんばれ!


570:【呪文】
ぼくはてんさい、ぼくはてんさい……ぶつぶつ。

______
参照:いくひ誌。【251~260】https://kakuyomu.jp/users/stand_ant_complex/news/1177354054882226727

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する