レビューの補足 ~TS百合は百合じゃない?~

(2023/11/11 一部追記)

 レビューの補足を近況ノートでするな、というのはまず置いといて。


【魔法少女タイラントシルフ】のレビューに載せたこの部分。

――〝性自認が男のTS百合は百合ではない〟

 これ、本当は『性自認が明確に女性へと変わったわけではないTS百合は百合ではない(と百合原理主義者を気取る私も~)』と書きたかったんですよね。

 TSものの一種の王道パターンとして、TSした主人公の性自認が女性へと変わる(タイミングや程度はべつとして)、というのがあるじゃないですか。

 特に〝TS百合〟というジャンルであれば、多少の変遷はあれど、最終的にはそうなる(すくなくとも、自身の身体的性別を受け入れる)作品が多いと思います。

 そのとき、主人公の性自認がはっきりと変わる、あるいは身体的性別を受け入れる描写があるなら、文句なしに百合(GL)作品だと思います。
 逆に、性自認の明確な変化がないものは、セクシュアリティ的にはシスジェンダーではなくトランスジェンダーの一種ではないかなと。

 特に、TS以前の性的指向がヘテロ(異性愛)の場合、それが変わったという描写がない状態(そう思わせる描写)のまま女の子とイチャイチャしても、身体の性はともかく、心の性別的にはヘテロだろそれ、という印象が強いので。

 最終的に女性っぽい振る舞いや言動になったとしても、そこを描写してくれない内容、またそうなるまでのストーリーや登場人物の関係性を百合と呼ぶのはなんだかなと思っていたのです。
 このへんが我ながら原理主義的だなあと思うところですね。

 もっとも、すでに界隈では擦られまくった話題ですし、ともすると否定に直結しかねない定義バトルをしたいわけでもなく。中身ヘテロ男子の作品をTS百合と呼ぶな、などと主張する気もありません。好きかどうかで言ったら、それもふつうに好きですからね。
 あくまで、自分の中で𠷡とカテゴライズできない、という話です。


 ところが、そんな私でも『これは百合だわっ!』となったのが【魔法少女タイラントシルフ】なのです。
 主人公の性自認が〝大人の男〟のままでありながら、脳と心が迷わず百合と判定した、いまのところ唯一の作品です。


 ……なんて長ったらしくレビューに書くわけにもいかなかったので、わかりやすさを重視して『性自認が男の〜』としたのでした。

 ただでさえオタク構文的な限界長文レビューになってるのに、あれ以上増やすわけにいかないですし。
 というかもっと文字数削りたかったのに、ひと月以上寝かせてもあれが限界だったという引き算のへたくそっぷりに泣けてきます……。




 そもそも、原理主義的といえば。

 性的な意味合いの強い身体的接触(唇同士のキス、またそれ以上の行為)をともなう関係は、百合じゃなくてガールズラブ・レズビアンだと思ってるんですけどね。

 昔の文学作品、いまだと百合やGLと呼ばれるだろう作品のような、ほんのり香る程度の百合がめちゃくちゃ好きだし自分のなかの源流なので。あのへんを〝GL〟と表現するのは違和感あるのですよね。
 言葉としても、百合とGLは微妙なニュアンスで使い分けたいなぁと思っていたのもあります。

 ただこんなん言い出すと百合とついてる作品の多くが楽しめなくなってしまうので、いまは気にしてません。
 もともと、ほんのり香る程度からえっちなやつまでぜんぶ好きですし、べつにどっちでもいいというか、あくまでジャンル、カテゴライズの話であって、苦手とか嫌いとかではありませんからね。

 原理主義的うんぬんもものの例えですから、いろんな百合・GLをもっと供給してくれ……というお気持ち。

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