ツールによって文章が変わる?

 いまや、日常的なインターネットの利用のほとんどがスマホという時代。

 総務省やLINEによる利用率(使用機器)の調査などでも、パソコンに比べてスマホ(携帯電話)の割合が圧倒的に多く、その傾向は60歳以上の年配の方でも変わらないという結果が出ているそうです。

 つまり、10代20代の若い人たちだけでなく、すべての年齢層でパソコンよりスマホが多く使われているらしく。LINEの調査結果では、パソコンと併用している人よりも、スマホしか使っていないという人のほうが多く、パソコンのみにいたっては1%という数字。

 この傾向はネット小説でもそう変わらないでしょう。
 ほとんどの利用者がスマホを使ってアクセスし、読書をしていると見てよさそうです。


 さて、読者側はそうだとして、作者側はどうなのか?

 閲覧も執筆もスマホなのか、あるいは執筆はパソコンという方も多いのか。

 個人的に気になっているのは、その割合もさることながら、どういった理由で執筆用の端末を選んでいるか、ですね。
 入力のしやすさや画面の大きさといった、さまざまな要素のなかからどれを重視しているのか。

 というのも、〝使う端末(ツール)によって、書く文章が変わることはあるのか?〟と疑問を感じたからです。


 そんな私はといえば、ここ十年ほど、執筆は九割スマホでした。

 いえ、スマホというか、ガジェットオタクこじらせていた時期からずっとそうなので、昔はPDA(懐かしのPalm機とか)などでぽちぽち入力していました。
 スマホという言葉がiPhoneやAndroidを指すよりも前の話ですから、我ながらよくやっていたなと思います。

 iPhoneがメインになってからはソフトウェアキーボードの入力の速さに病みつきになり(両手持ちQWERTY限定。フリックは無理)、『もうこれしかねえ!』とすぐに移行、たまにポメラやパソコンと併用という形に落ち着きました。

 特にここ数年は十割スマホといってもいいかもしれません。
 複数の端末でのデータ共有がすごく楽になったのに加え、冒頭の調査と同じく、それ以外のネット利用でもスマホが中心になったのもあります。


 が。つい最近、とある理由から、再びパソコンでの執筆を再開しはじめたところ……びっくりしました。

――なんか文章がちがう……?

 自分としてはスマホと同じように執筆しているはずなのに、なんだか文章のノリというか、調子が変わっているような気がしたのです。

 気がした、というのがミソです。
 あとから読み直して、あきらかに違うというほどではありませんし。だいぶふわっとした感覚で、うまく言語化できないのもあってか、自分でも半信半疑でした。

 ただ、以前ツイッターかどこかで、パソコンの大きな画面で書いていると、前後の文章の流れがよくわかる(から書きやすい)みたいな話を聞いたのですよね。
 当時はすでにスマホメインだったので、ほーんなるほど言われてみれば、ぐらいにしか思っていなかったのですが、たしかにありえそうな気もします。

 スマホの場合、いくら画面が大型化してきているといっても、一覧性ではパソコンに劣ります。
 文章の前後、流れを把握しつつ書くといった点ではたしかに有利かもしれません。

 とはいえ、スマホでは無理、という話ではないでしょう。
 仮にその点で大きな差があるとしても、じゃあ実際に出力される文章に他人が読んでわかるような違いが出てくるかというと、あやしいものです。

 パソコンのほうが入力支援が豊富(執筆に使うソフトやIME、また複数のソフトを併用など)という話なら納得、議論の余地なしと思うのですけどね。
 この点で、スマホはまだまだ面倒が多いというか、近づけることはできるけれど同等とはいかない印象です。


 そんなわけで、しばらくのあいだスマホとパソコンを併用する昔のスタイルに戻ってみたのですが。

 個人的な結論は、

――やっぱり文章に差は出るかも。でもそれは、ツールではなく環境やそのときのノリによる違いっぽい。

 となりました。

 端末に場所が左右されるパソコンと、いつでもどこでも執筆環境にできるスマホとの違い、と言い換えてもいいでしょうか。
 家で腰を落ち着けて書く場合は、どっちを使ってもあんまり変わらない気がします。集中し始めたら、いちいち自分がどんなツールを使っているか、なんて意識しませんし。

 言い方を変えれば、執筆時にいちいちツールの存在が意識に上るような場合は、そのツールや環境自体が良くないんじゃないかな、という気がしますね。

 逆に、家ではなく外、あるいは家のなかでもスキマ時間などに、ふだんとメンタルやらノリやらすこし違うときに書いたものは、文章の調子もやや変わっている感覚があります。

 ふだんちょっと書きづらく感じていたシーンがさくさく書けたり。
 行き詰まっていたところが、あっさり書けるようになったり。

 執筆への意識とかメンタルの持っていき方が、環境……外部の刺激など加わって変わるからかなぁと推測しています。

 あくまで個人的なものですし、やはりふわっとした感覚なので、結論というにはあやふやなのがもどかしいです。

 できればもっと突き詰めたい、自分だけでなく他の方の声も聴きたいところ。
 検索しても、このノートのように個人的な経験や感覚での記事しか見つからないので、だれかアンケなどとってまとめていたらぜひ読んでみたいなあと思っています(人任せ)。

 いや自分でやれよという話ですけど、必要な母数を集められる気がしません……。


 というわけで、併用も悪くないなと思いはじめたところなのですが。
 私の感じた最大のメリットは、そこではありません。

 パソコンとスマホを併用するもっとも大きなメリット……それは、

――〝文章のミスに気付きやすくなる〟

 です。

 画面の大きさも変わり、文章の見栄えも変わるせいか、スマホでは気づかなかったミスをパソコンで見つけられたり、あるいはその逆といったパターンもありました。

 しかも、単純な誤字脱字だけでなく、文章そのものがちょっと変とか、言い回しが妙にくどいとか、あからさまなミスではない修正点も見つけやすく感じました。

 上記の結論、ツールというより環境やメンタルの差によって文章に違いが出るかも、なんていうのは副次的なもので、これこそが併用のもっとも大きなメリットだと思う次第です。

 それぐらい、かなりはっきりとした体感を得られました。
 スマホ・パソコン(あるいはタブレットでも)の併用、オススメです。

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