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怪異ー百モノ語ー、あとがき

 カクヨムのアカウント作成時から細々と執筆してきた作品、『怪異ー百モノ語ー』を完結させました。
 今作は元々、同時期に執筆を開始していた僕の処女作でもある長編『異喪裏ーイモリー』の執筆中に溜まっていたフラストレーションを解消すべく、書き始めた作品でした。
 『異喪裏ーイモリー』は、小説を書くという行為が未経験だったこともあり、丁寧なプロットも章構成も用意せず、頭の中にあるぼんやりとした物語を文章に起こして構成しては、一話毎に公開していくという、今にして思えば恐ろしい執筆方法を取っていた為、連載中はとにかく”ああ、どうしよう”と思い悩むことが多かったのです。
 そんな中で、一続きの長編ではなく、短編で怖い話を書き綴ってみようと思い立ち、今作の執筆を開始しました。
 昔から洒落怖などの、短編の怪談、怖い話が好きだったというのもありますが、長編ではなく短編なら手っ取り早く話を完結させることができるじゃないかと考えたからです。
 そんな軽い気持ちで、やはりなんのプロットも構成も用意せずに、今作の執筆を開始しました。なので、タイトルも、文体が語り口調なのも、百物語という構成も、まったくのノープラン。当初のノリで決めたものです。
 記憶にある限りでは、五話か六話を書き終えた段階で、”せっかく百物語をするんだから、語り手に何かバックボーンを与えてみるか”と思い立ち、十話毎に語り手が自分の話をして正体を明かしていくという構成に舵を切りました。
 それが上手くいっているかは分かりませんが、一応は話数の節目に指標となるものができ、執筆に対する意欲が多少は向上したので、成功といえるでしょうか。
 しかしノープランとはいえ、今作を執筆する際には、一応僕なりに、”どこかで見かけたような話を書かないようにしよう”と心がけていました。
 それ故に、怪異ー百モノ語ーの話は、全て創作怪談です。
 僕は霊感がまったく無く、幽霊がらみの恐怖体験をしたことがない上に、そういう知り合いもほとんどいない為、そもそも実話怪談を集めることが不可能でした。二、三、そういった話を聞いたことはありましたが、どれも面白みに欠けるつまらない話で、落胆するばかりだったのです。
 なので、今作に書き綴った話は全て、僕が普段から考えていた怖いシチュエーションや、こんな幽霊がいたら怖いだろうな、という妄想の具現化です。短編故に登場人物を使い捨て同然に酷い目に遭わせることができたので、書いていて楽しかったですね。
 ちなみに、話に入る前に語り部がボヤボヤと語る文言は、僕が普段から思っていた怪異や心霊現象に対する疑問や、考えていた仮説です。そういったものを吐き出すことができたのも、今作を書いていて楽しかった点のひとつです。
 そんな感じだったので、実は一続きにしている語り部の男の話よりも、パッと思い付きで構成した他の話の方が好きだったりします。中には、これ長編にした方がいいかな、とまで気に入っているものもあります。もしかしたら、どこかで焼き直しをするかもしれません。
 しかし、全部が全部そういうわけでもなく、中には書き直したい話もあります。一から創作したはずが、ネット上に似たような話が載っていたり、もっと上手くできたかもしれないと後悔をし続けている話がいくつもあります。今更いじくるのもアレなので、書き直すつもりはありませんが。
 また、怖い話を書いたりすると悪いモノが寄ってくると聞いたことがあったので、執筆中はそういうのを期待していたのですが、霊感がまったく無いせいなのか、怪奇現象に遭遇することはありませんでした。
 それらしいことがあったといえば、今作の78話目、”捲れたポスター”を公開した翌日、僕の部屋に貼ってあるポスターが捲れて落ちていたことくらいでしょうか。まあ、そのポスターはちょうど扇風機の風が当たる位置にテープで貼ってあったので、偶然でしょう。その日の夜、何年かぶりに金縛りにあい、無理矢理身体を動かして目覚めるハメになったのも、偶然だと思います。その後、ポスターは貼り直したのですが、それ以来捲れて落ちる現象は起きていません。
 なので、執筆中に起きた妙な事といえばそれくらいです。まあ、百物語をやるとよくない事が起こるというので、それに期待ですね。これから何が起こるのか、楽しみに待つことにします。(しかし、語りではなく、執筆でも通用するのでしょうか……?)
 今のところ、今作の続編を書くつもりはありませんが、またムラムラと怖い話を書きたくなったら、続編かどうかは分かりませんが、似た形の短編集の連載を始めるかもしれません。
 最後に、これは『異喪裏ーイモリー』のあとがきにも記していますが、息抜きのつもりで書き始めたものが、いつの間にか閲覧数が増えていき、応援の♡や☆の数が上回ってしまったのは、複雑な気分でもありました。
 しかし、今となっては拙作の中で一番の閲覧数、応援の♡、☆を獲得した作品になった上に、様々な方との出会いを運んできてくれたものにもなりました。
 また、Twitter上でリンクを貼り付け、宣伝を始めたのもこの作品からでした。その度に、様々な方々にいいねやRTをして応援していただき、感謝に堪えません。
 長くなりましたが、三年もの間ノロノロと不定期に連載してきた今作を閲覧して頂いた方々、フォローして頂いた方々、応援やレビュー、コメントをして頂いた方々に、感謝を申し上げます。長い間、とても励みになっておりました。本当にありがとうございました。
 また、youtubeにて、青木双風様に今作を朗読して頂いております。他のカクヨム作家さんたちのホラー作品も朗読されているので、よければぜひ聴いてみてください。





















 ちなみに、今作に出てくる話は全て創作怪談と上記しましたが、実は一話だけ、僕の実体験が混じっています。
 それがどの話か明かすつもりはありませんが、僕はそういった類のモノを視たことは今までに一度もありませんし、そもそも幽霊や怪異の存在を信じていません。なので、今後もその考えが揺らぐことはありません。
 よっぽどの事が起きない限りは。

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