火炙り小話「ガルは器用」

「そういえば、トリ以外の肉はどうやって調達しているんですか?」

夕食の席で何気なく聞いてみると、ガルヴェイルさんはパンをちぎって口に放り込みながら答えてくれた。

「森で調達している」

サバイバルだ。すごい。都内でOLをしていた私には馴染みのない響きだ。

「後で見せてやる」

そう言ってガルヴェイルさんは再び食事に集中したので、私も倣って食事を再開した。今日のメニューは兔肉(恐らく)のソテーだ。



食事を終えると、ガルヴェイルさんが自分の部屋へ戻り、何かを持って帰ってきた。
蔓か何かをロープのように編み込んだものや、木製の弓矢のようなものまである。

「これで木材を括って罠を作ったり、弓で射ったりしてるな」

ロープと弓を手に取って解説するガルヴェイルさんが、私の方に道具を渡してくる。受け取って上から下から、まじまじ眺めた。

「これ、もしかして自作ですか?」
「そうだが……」

えええ。ロープは丁寧に編み込まれていて非常に頑丈だ。弓も、木を丁寧に削って加工してあることがわかる。さすがに私の知る現代の弓に比べれば、手作り感はあるが、簡単に作れるなどとは到底思えない。

「器用なんですね……」

ガルヴェイルさんは少しだけ嬉しそうな顔で「そうでもない」と返した。

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