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青年の四季についての創作報告書⑬

 郵便局に曜日があるように、幸福にも休暇がある。

 なのに、小説家志望をしていると休暇がありません。
 幸福にだってあるのに。
 好きでやっているから、良いと言えばいいのですが。

 さて、そちらの小説の進みはいかがですか?

 僕は仕事終わり、ご飯を食べながら「名探偵ピカチュウ」を見ていたら、暴力的な睡魔に襲われて仮眠という言い訳をして少し寝てしまいました。

 最近、眠たいのは冬の到来のせいなのか、年齢のせいなのか……。
 何にしても、不便なことはこの上ありません。

 もう日を跨いでいますが、11月11日は印象的な話が幾つかあったので、少し書き残させてください。

 まず、ツイッターのトレンドにずっと「ブンちゃん」という単語が上がっていました。
 このブンちゃんは僕が思っているもので良いのかな? と思い調べてみると案の定、漫画家の羽海野チカの飼い猫でした。

 羽海野チカはツイッターにて以下のようツイートしていました。

 ――世界で一番かわいいねこが
 新しい国に旅立ちました
 今、ふわふわにがんばって空にのぼっているので、どうか
 今まで一緒に見守ってくださった
 みなさん
 どうか、少しだけ
 お空にバイバイってつぶやいていただけるとブンちゃん安心できるとおもいます
 ありがとう
 だいすきだいすきブンちゃん

 3月のライオンの本編終了後のおまけ漫画でブンちゃんのエピソードが描かれていて、それを楽しく読んでいた身としてはショックでした。

 江國佳織が飼っていた犬の「雨」が亡くなったと知った時と似たショックがありました。
 雨のエッセイ「雨はコーラが飲めない」が僕は大好きだったんです。

 ブンちゃんも雨も、作家の横にいて、密かな心の支えになっていることが伺え知れていたからこそ、彼らがいなくなった後の空白を想像して胸がチクリと痛みます。
 
 海野チカがツイッターで書くように、仕事の帰り道に空に向かってバイバイを呟きました。

 あと、ツイッターのトレンドには「独身の日」というものが上がってもいました。
 中国では1が独身の意味で使われるんだとか。
 
 へぇと思って、職場でいつも隣に座っている同期の女の子に話を振ってみました。

「あ、見た見た」

 などと返答があった後「私、一人暮らしをしたいんだよねぇ」と言いだし、「○○って駅近くどう思う?」と訊ねられました。

 その○○という駅周辺で僕は二十歳から二十三歳までの間、暮していました。
 なので、正直ドン引きされる勢いで駅周辺の利便の良さや、お店のあれこれの話をしました。
 
 同期の女の子も十年近く共にいる犬を飼っていて、仕事終わりは必ず散歩に行くのだと言っていました。
 僕は個人的に彼女が語る愛犬のエピソードが好きでした。

 そんな同期が一人暮らしを考えているとすれば、ペット可の部屋じゃないとですね~などと喋った後に、

「というか、彼氏と一緒に住んでいるのに、一人暮らしするんですか?」

 と訊ねてみました。

「うーん。生活は殆どすれ違いだし、家賃も半々だから良いこともあるんだけど、休日を合わせちゃっていて一緒にいるのが、しんどいんだよね」

 独身の日かぁ。
 と謎の単語が頭をよぎりました。

 同期は彼氏と同棲して二年が経っていました。
 もし、同棲して一年が経った頃に結婚していたとしても、彼女は一人暮らしをしたいという発想に至ったのだろうか。
 と疑問に思いました。
 
 互いが距離を置いて暮らしつつ夫婦であることは、もちろんできると思います。
 こと現代において結婚の形は人それぞれです。

 それはそれで良いのですが、僕は昨日から何となく旧来な考え方が僕の頭には浮かびやすくなっています。

 もしかすると、それは「〈女流〉放談 昭和を生きた女性たち」という本を最近、ぱらぱら読んでいるせいかも知れません。

「〈女流〉放談 昭和を生きた女性たち」はイルメラ・日地谷=キルシュネライトというドイツ人の女性の方が、日本の女性作家たちにインタビューをしていった本です。
 インタビューをしたのは1982年で、この本が発売されたのは2018年12月21日でした。

 三十年以上時間が置かれたインタビューが一冊の本にまとめられる例を僕は初めて見ました。
 そして、内容は現代でも、あるいは現代だからこそ有効な内容に圧倒されました。
 
 僕は昭和に活躍した女性作家に強く惹かれていた時期がありました。
 それについてはまた、別の機会に語りたいと思います。

 では、小説を書きます。
 実は昨日から少し進みました。
 全体像も見えてきて、小説世界の視界が良好になりつつあります。
 良かったぁ。

 今回、紹介したいのは彼女と結婚を考えている青年の話だった「情熱乃風R」です。
 付き合っている女の子に対する不安定な感情が丹念に描かれた作品だと思っています。

 倉木さとし作品の醍醐味は運転中の描写で、その時に浮かぶ心理描写が車の速度と対応するかのように、滑らかに流れていく部分です。
 個人的にこの思考の流れは倉木さとしにしか書けない何かがあるように毎回思っています。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054890751199

 どうぞ、よろしくお願い致します。

2件のコメント

  • 青年郷倉くんへ。

    おはようございます。

    ご飯を食べて暖かくなると眠くなりますよね。
    そして、きっと仕事して小説を書いて…
    疲れもあるんじゃないかなーと思います。

    時期的なものもあるかもしれませんが。

    それと、ペットは家族なので悲しさは
    計り知れないものがありますよね。

    「小泉放談」の中でも
    江國香織さんと小泉今日子さんが猫を話をされていました。ちなみに小泉今日子さんの買っていた猫は「小雨」ちゃんと言って、ロシアンブルーでとっても可愛くて、それこそやはりエッセイにも登場していたし、「小雨日記」という本も出されていました。(こちらも亡くなってやはり私までもが悲しかったです)

    今、無性にエッセイが読みたいです。
    沢山買った本当に手がつけられていません。
    今年ベスト5は数少ない本からになりそうです(笑)

    郷倉さんは相変わらず、色んなジャンルを読まれていますね。さすが!


    そして、同期さんの気持ちが分かりすぎる(笑)
    分かりすぎて、最近の3連休の多さを嘆き合いたいくらいです(笑)

    夫婦でもよくケンカするという人達ほど、
    休みの度にずっと一緒に過ごしているとか
    本当にいる時間が長い人の様な気がします。

    何にせよ距離が近すぎると、
    本当なら見えないところまで見えてしまうんですよねー。
    その日のコンディションにもよるとは思いますが。
    って、これからの人に夢の無いことを言ってしまいました。失礼しました。

    何年経っても大好き過ぎるという方々もいるので、
    その辺はご安心を!


    小説の世界の視界が良好になってきて、
    良かったですね!!


    今日も郷倉さんにとって、
    ゆるく優しく素敵な1日になりますように。


  • ねむこさんへ。

    おはようございます。

    暖かくなると、確かに眠くなっちゃいますね。
    ご飯食べる前に小説を書くべきかな?と模索中です。笑

    家族であるペットの死は本当に計り知れないものがありますよね。
    なんとなく、その子たちを知らなくても、その子たちがいなくなることで悲しむ人たちにあてられている部分があります。

    小泉今日子さんの猫、小雨って名前なんですね。良い名前。

    エッセイが無性に読みたくなる時期ってありますよね!
    僕は小説が今、読めないので、、、
    消去法みたいなところがあります。笑

    ねむこさんのベスト5楽しみにしています。

    3連休の多さを嘆く!
    なるほどなぁ。
    一人暮らしだと「やっほい!」ってなっているだけですもんね。笑

    近くなりすぎると、見えてしまう部分が多くなっちゃうのは確かにそうですよね。
    そして、コンディションもありますよね。

    ふぅむ。
    とても貴重な話でした。
    これからの人間なので、知ってどうってこともありなせんが、心の片隅に大事に置いておきます。笑

    ねむこさんもゆるく楽しい1日を過ごしてください。
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