藤咲 沙久

　KAC2022最後のテーマ、『日記』のお話です。 　20歳になった息子が、日記を通して初めて聞く、寡黙な父の本音。 　これは不器用な父が、息子を見守り続けた物語。

　宵崎奈緒子は深夜に一人、職場の屋上に立っていた。 　忙しなく、代わり映えのしない日常、自分を無為に消費するようなこの人生を終わらせるために。 　そんなとき奈緒子の耳に届いた声が…

　大学で活動するサークル『お笑い部』。 　その中に、大学でも名の知れた名物コンビがいた。 　彼らは部の内外から持ち込まれた『事件』を、漫才を使って解決するのである。 　そんな彼ら…

　特に誰かに話すような希望もなく、怠惰な生活を送っていた大学5年生の桜庭和希は、友人の兄の結婚式で7つ上の紅葉咲に出会う。 　これはそんな二人が恋をして、想いを伝え結ばれて、一年…

冬休み。早朝の寒気の中温もりを求める男女の話。

デパートに年末のお歳暮を買いに来た。 ふと、偶然『赤いきつね』と『緑のたぬき』を見つける。 思い起こす。 苦学生だったころ『ヤマヤ蕎麦』がくれたうどん帖のことを。 あのときに…

九〇年代後半ごろ、夕方の公園でバンドをやめた男と塾帰りの少女が喋るだけの話です。以前『砂漠』をテーマにした部誌に載せた作品を加筆修正しました。

　２７歳になる柴田祐希は、妹の結婚を機に自身も婚活をすることを決意するが、２０代での結婚にこだわることに次第に疑問を抱いていく。 　結婚に悩むアラサー女性に読んでほしい作品。

年賀状のエピソード。 思春期の友情は難しいですね。 またしても、短編書きたい病です。

「僕の味噌汁を毎日作ってくれ！」 「無理よ」 「まさか、僕以外に好きな奴がいるのか！」 「違うわよ」 なぜ彼女は、味噌汁を作ってくれないのか？ なぜ、彼は時代錯誤甚だしいプロポ…

　放課後、いつもどおり和人と帰ろうと彼を誘う恵だったが、和人の様子は何故かいつもと違っていて……。

　新人賞の授賞式で、朝野葵はあの日の事を思い出す。もう一度立つ勇気をくれた彼女と出会ったあの日の事を。

　物心ついた時から殺し屋として生きてきた少女ヴィオラは、ある夜その短い一生を終えようとしていた。 　宵の闇が一層暗くなる路地裏で、壁に背を預けて目を閉じた彼女の前に”それ”は突然…

　文芸部員の月影朱里は部室の片隅で頭を悩ませていた。今月の部誌のテーマが『走る』に決まったからだ。 　『走る』なんて言葉に、物語は生まれるのだろうか。いや、アスリート達のドラマチ…

　新しい環境にはストレスがつきものだ。慣れない環境、人間関係、昨日までとは違う日常に、自然と溜息がこぼれる。 　新社会人の霜月奏も、例外なくその一人。そんな彼を癒すのは、白い小さ…

この山には怪物が住んでいるというが、僕はその怪物にとても迷惑している。

聡明な女と鈍感な男がさいごの会話を交わしているようです。