前回、地の文と会話文について、そしてその割合について、またはその挟み方について、などなど皆さんから貴重なご意見をいただきました。
そして皆さんのコメントを見ながら改めて思ったのは、ずばり表題通りの『会話文』にこそ試行錯誤が隠れている気がしました。
とくに地の文重視派の方にすれば、会話文の説明不足が気になっていたり、そもそも誰の言葉かを表す表現に苦闘したり、という感じがしました。会話文メインであれば逆であったりもするのでしょうが。
かく言う私も地の文重視派ですね。アトランティスでは大塚長官がその警備体制について延々と説明してくれるシーンがあったりしますが、やっぱり不自然だよな、と思ったりするわけですね。
ということで流れるような会話文、リアリティがあり、自然な会話文、なおかつストーリーに絡むような会話文、こういうのが自然にできるのがいいなぁ、とは思っているわけです。
ということで連続してお題を出すのも恐縮なんですが、ここは前回との絡みもあるのでこうして書かせていただきました。
ということで、私的に気に入ってる、これは上手にいったな、という会話文をのせておきます。『若君は吸血鬼』よりですが、みなさんならどういう風に書くのかな、なんて興味もあり載せておきます。
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若君はあたしの言葉を待っている。
「正直に答えてほしいんです」
若君は向き直った。
「なんじゃ。申してみよ」
「若君は、誰かの血を飲みましたか?あたし以外の誰かの血を、吸いましたか?」
あたしは一気に言った。なんか大声で、恋の告白でもするみたいに、そう聞いた。
一瞬の沈黙。胸がドキドキする。
「いいや」
若君は簡潔にそう答えた。まるで何でもないみたいに。それから、当たり前のようにこう続けた。
「……ワシにはお前がいるではないか」
その言葉に、なぜだか、あたしは泣きそうになってしまった。
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(あ。宣伝の意味ではないです。あくまでサンプルです)