多分読んだ人みんなが「あれ?」と思ったところがあると思うんですけど、アッシュベルトの方々の遺品を持っていたという兵士のこと。
世界を混乱に陥れたクルト・アッシュベルトが病んだ原因。両親が馬車の事故で死亡。妹が狼藉者に襲われて犯人逃亡中。兄は災害に巻き込まれる。
そうです、両親と妹の件に関してはただの事故ではないかもしれないという……。
火事場泥棒しただけかもしれないという可能性もあるんですけど、世界を救済した聖女に対して憎しみしかぶつけてこないし、子供とはいえ直接暴行までする品の無い親族の様子を見るにおそらく叔父とやらも……。王宮勤めの兵士なら油断させるのも簡単でしょうね。
余談ですが、子供の暴行シーンには元ネタがあります。昔通勤する時に小学生の通学班を見かけまして、そのリーダーらしき年長さんに後ろをついていってる年少さんが笑いながら蹴り入れてたんですよ。同じ班の他の子もそれ見て笑ってました。
この辺の子供はわんぱく(気を遣った言い方)なんだなあと思いました。ちらっと見たリーダーさんの悲しそうな顔忘れられませんわ。聖女を地獄に突き落とす最後の一撃といったら何だろうと考えてたら当時のことが浮かんだのでせっかくだからネタにしました。
クルトさんは即日処刑されているのですが、その前に「両親と妹の件を洗ってくれ。犯人見つけ出して正当な裁きを与えてくれ」 と訴えてますが、「世界滅亡させようとした頭おかしい人の話とか聞く意味ある?」 と却下された模様。
ちゃんとやっていればその親族が王宮に入り込んでることに対して何らかの処置はしたでしょうね。そうしていれば聖女は自害をすることもなかった。
最後にクルトが笑ったのが「俺の話を聞いていればこうならなかったのにwってか女神が直接滅ぼしてやんのウケるwこれどの道世界滅んでらwww」という意味です。
ところでこの異世界の一番の謎はあの女神の作った人間からヒロインの両親のような善良な人間が生まれたことだと思います。
女神もちょっと過干渉なだけで善良よりではあるんだけど、特別な人間を初めてもったことで初恋に浮かれる少女のように暴走した部分もあります。
ジフェンの花のモチーフは作中にも出てるあの花。
ネタ帳では花の逸話のことも書いてあって
「昔一人の狩人が花の下で焚き火をしながら夜を明かした。起きた時まだ火はついていたが、そのうち消えるだろうとその日に限って放置した。天気が急変し、大風で火の粉が舞い上がり麓の町を全焼させた。戻って来てその事実を知った狩人は絶望と自省の念から花の蔓を結って首をくくった。この事件からこの花は別名自○の花と呼ばれている」
最初に山の管理人に許可もらって花の蔓を貰っているシーンがありますけど、管理人も何に使うか察してます。でも世界が荒れすぎてそうしたほうがマシだろうと思ってます。この管理人だけが故郷で唯一良心を持っていました。
作中では故郷の花とか嬉しかろうと王宮の人達が勝手に植えたことになってますが、ネタ帳にはヒロインが死ぬために花を欲しがり、その理由も知らず花を取っていこうとする王宮の人達を必死に止めている話があります。
「死の花って逸話を知らんのかい」
「うるせーよどきな爺さん!」
管理人が止めるのも聞かずに「これで聖女が笑ってくれるぞ」とホクホク顔で持っていく役人達。
女神に愛されてる子が自分から命を絶ったりしたらこの世界無事なの?と不安になった管理人は事が起こる前に自分も……という暗いネタ。
救済後のヒロインについてはネタ帳のほうにはもうちょい普段の様子が書いてあって「ハーゲンに舞踏会で手を差し伸べられても『彼が私を誘う訳がない』と素通りする(男性側からするとここで手を取らないのはかなり失礼な振る舞いに当たるけれど、そもそもハーゲンが最初にやらかしてる)」 とかあったけれど、まあ話が間延びするからカット。
あと一番最初の設定では普通にクルトとくっつくことになっていたのが自分でもびっくり。
手の平返しする世間の反応が億劫になって牢屋に居るクルトに会いに行くと誰よりも本音で話してくれる→「すっごい落ち着く」
「実際さ、この世界嫌にならない?」
「現在進行形でなってる。許さないのは私の心が狭いみたいに言われるの納得いかない」
「あはははそりゃ疲れるな。俺も家族がみんな死んだ時「金も家も地位もあるからいいじゃん」って言われたよ。そういう問題じゃないんだよっていう」
「誰もこっちの気持ちを全然想像もしないの腹立ちますよね!」
「それな」
「(話が合うなあ)」
「王様~ハーゲンのこと許すから、クルトに恩赦を出して」
「おk」
「元凶すら許してしまうなんてさす聖女」
「ハーゲンと結婚するわ」
「聖女と結婚します」
「うーん……ドラマチックだからよし!しかしこういうのって普通は王子と結婚しそうなものなのに。王子も聖女に秋波出してたよな? まああの王子普通に無能対応しか出来なかったし、そりゃこうなるか」
というハーゲン一人がずっと過去を引きずるエンドだった。悪役にも負ける味方陣営ということで演劇などでは道化ポジ。