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決して戻らない記憶 裏話

 やらかし男を絶対に許さん女な話が続いております。
 その中でも今回のヒロインはずばり冷遇された聖女~の話のヒロインをめっちゃ嫌うタイプとして書きました。
 冷遇聖女のほうは仕事でミスしてメンタル病んでた時に書いたからどんな扱いしても許してくれるようなヒロインほしい…みたいな感じで書いたけど、回復した今では無理なもんは無理っていうヒロインのほうが共感できます。

 セレネは「酷い目に合ったけど色々あって許したよ~」というラナちゃんを気まずそうに見て「随分心が広いのね。聖女って貴方のような人のこというんでしょうね。私には無理」と言いそうな感じ。

 省略したけど転生する中で失われない記憶に自棄を起こした暴行犯達がメラニアをセレネと同じ目に合わせる話もありました。
 カミロは思うところがあっても領主として一人の可哀想な女性として扱うけれど、メラニアは「あんなことした私に優しくするなんて…本当は私をずっと思ってくれてたんじゃ?もしかして彼が真実の愛の相手?彼と結ばれればこの無間地獄から抜け出せるかも!」と求婚。
 カミロは「勘違いするな。領主として当たり前の対応をしてるだけだ。お前でなくてもそうする。自分にもセレネにもしたことを忘れてよくそんなことが言えるな。そんな汚れた身体で近寄るな気持ち悪い」と弱ってる相手に今が好機とばかりに積年の恨みをぶつける。
 メラニアは子供を流したあとにセレネと同じように転落死。「治療費が無駄になっただけじゃないか」とカミロは思うが、これだからセレネは自分を嫌がるんだろうなとも思う。

 タイトルからずれるけど、セレネの記憶が戻るとしたらよくあるネタのように頭をぶつけて~という感じで。
 セレネはずっと平民に生まれてるから家計が厳しい時に金の無心に行ったら歓喜される。いらないっていうほどあれこれくれる。
 それで「こいつ覚えてる?」と気づき、今の何も知らない家族も「優しい領主様には報いなきゃ」と言うので嫌々恋人に。
 しかし待ち合わせに行こうとすると吐き気で玄関でうずくまってしまう。思い出した今は生理的に無理な男でしかない。
 だがよくよく考えたら平気で嘘ついた人との約束を守る必要なくない?と気づいてすっぽかす。予定変更して前々から両想いだった男Aとデート。カミロは一日中待ってましたとさ。
 カミロはセレネを自分の手で幸せにしたら救われると信じて、それからセレネに正妻にする、妻は一人だけだと言うが、セレネはカミロをやっぱり信用できず「館についたらあの時の男達が出てくるんじゃないの」と疑う。家族は地位と金に目がくらんで婚姻しないなら家から追い出す勢い。せめてもの自衛のためにAを呼び出す。
 初夜には「あなた初物嫌いだったわよね。あと他の子供を身ごもってる女性が大好物だったわよね?だってあの時そうなってから優しくされたし。喜んで。お腹には違う男の人の子がいるの。どうしたの?私貴方のためにとっても頑張ったのに」
 カミロはセレネの嫌がらせを受け入れた。そう思うことで心の均衡を保っているのだとしたら、自分が責任を取らずに誰が取る。
 セレネとしては自分だけでなく家に対する侮辱でもあるんだからさっさと処刑しろと思っていた。
 だがカミロはそうしないし「君は俺のためになることをしてくれた」とか言ってる。……自分の妻が他の男と寝たのにそんなへらへら笑ってられるんだ。大体そこは真っ先に危害を加えられたか心配するところじゃないのか。やることなすこといちいちずれてるんだよなこの人。
 それからセレネは寝室も別々で寝る時に鍵をかけたうえでドアにつっかえ棒を置いて寝る。「何かあったら助けられないじゃないか」「助けるどころか見捨てる人でしょ貴方。私は自分の身を守りたいだけ」
 領主の妻なのに自分で働いたぶんしかお金を使わない。大嫌いな貴族の金を使うなんてセレネのプライドが許さなかった。男の金を使うことは一切ないから身なりもいつもそれなり。
 新時代の奥様像と平民中心にもてはやされるが、同じ貴族には「あれ絶対経済DVされてるよね」とヒソヒソ。
 カミロは自分に全く似ていない息子を親族の娘と婚約させて血縁の問題はカバーした。
 二人目以降が生まれないと陰口を叩く親族には「自分に問題がある」と言って説得した。
 実の子か怪しいと言う輩は影で排除した。
 二人で公務している時が一番夫婦していた。

 セレネが亡くなる時にベッドで
「もう懲りたでしょ。これでもまだ私と結婚したい?」
「……したい」
「ああそう。じゃあまた違う男の人見繕わなきゃね。貴方に初めてを捧げることは永遠にないようにしなきゃ。必ず他人の子を貴方の子にするの。私は優しいからずっと貴方の希望に沿うように努力するわ」
「ありがとう」
「……」

 実のところカミロはこれで幸せだった。
 妻という身分のおかげで不審者を近寄らせない口実ができたし、大嵐の夜に平民の家は大丈夫かなんて心配はしないし、病気しても真っ先に診てもらうことができる。

 セレネとカミロはそんな人生を何回も繰り返す。
 最初の人生でメラニア関連のことがまるっとなくなったような人生を送ることがカミロの望みだが、記憶を受け継いだセレネは必ず他の男と子供を作るしカミロとそういう関係にはならない。
 カミロは日記に「何も寂しくない。畜生だってそんなことは考えない。まして自分は畜生以下だったのだから」と書いた。

 もっと精神にくる話にするとしたら、セレネは泥酔させてカミロと子を作る。
 心の狭いカミロは自分の子じゃない(と思ってる)子に複雑な気持ちしかなく当たり障りない対応。
 子供は必死で父親に好かれようとするけれど、全部無意味に終わる。
 子供が十歳になったところでセレネはカミロに「ようやく貴方とやり直してもいいと思えた。でもそれにはあの子が、ね……」とちらつかせる。
 子供がいなければセレネとやり直せると思ったカミロは子供を手にかける。
 子供自身は全てを諦めていて「いいよ、お父さんの好きにして」と言って容認する。
 子供をどこに埋めようかというところでネタ晴らし。
「正真正銘あんたの子供だったのに。神様がいるならもうあんたと私の子供は産まれないね。……他人の子でもいつくしんでくれる人だったらやり直しも考えたのに、まさかためらいなく手にかけるなんて」
 セレネはカミロを通報。近所の人も「不自然に子供に冷たかったし、いつかやると思ってました」と証言。
 独房の中で人形を妻と子供だと思ってる狂人になるカミロ。「この生が終わったら、もう生まれたくないな」

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