書くものも書いたし出したし読んだのを書いておこうということで、萩原浩『ハードボイルド・エッグ』を読みました。
面白かったーのでネタバレ注意ー。
本作は有隣堂しか知らないハーフボイルドのせかーい! とか検索妨害めいたこと書きましたが、貰い物の本でして、読み進めていたら栞代わりに有隣堂ヨドバシAKIBA店のレシートが出てきただけです。なかなかに古い本なのでブッコローの左目よろしくやや黄ばんでいたりも。
さてそんな本作は……チャンドラーのハードボイルド探偵フィリップ・マーロウに憧れているけど現実は上手くいかないペット探し主体の探偵の話です。
なにが凄いって、この設定を見聞きするだけでどんな雰囲気の話か察することができるくらい確立しているハードボイルドおよびハーフボイルドの世界~~~!
あらすじとしては……主人公がペット探しのついでにダイナマイト・ボディの秘書を雇ってみたりする話です。コレ以上の全てがネタバレ的なスポイルになるっていう。
文体は一人称のハードボイルドですが、チャンドラー型の心情描写が入るタイプですね。一般的。読みやすいですし、場面によってはカッチリ決まってて上手いです。
こんなところで早速ネタバレ全開お気に入りポイントです。あらすじのすべてがネタバレになっちゃうっていう難物!
ココカラ。
お気に入りポインツ1!
ダイナマイト・ボディの写真を送りつけ美女の声色を使って雇われた御年80才声のおばあちゃん、綾さん。出落ちは予想してたんですけど、こういうときってスーパーおばあちゃんだったりするじゃないですか。違うんですよ。やや厚かましくセンチメタリックに引き込んでくる普通のおばあちゃんでおばあちゃんなんです。笑った。泣いた。いや実際には泣いてませんがジワーっと感動しました。
お気に入りポインツ2!
やってることはギャグとハーフボイルドなのにしっかりハードボイルドに落ちる! ススキノ探偵シリーズこと探偵はBARにいるをもうちょっと情けなくカッコ悪くでもビシっと落とす手腕は唸ります。
お気に入りポインツ3!
ペット探しをやってる探偵ものはいくらでもありますけど、探したペットが容疑者になったり悲しみや怒りの対象になったり無実の罪を晴らすために探偵が奮闘するとかっていうのはあんまり記憶にないです。でも考えてみたら依頼人の男女を動物にしたらそうなりますよね。なるほど。
気になるポインツ……は、ない、ですね……。ギャグだからかもしれませんが、本当にここ不満みたいなのはないかも。
一箇所あるっちゃありますが、ミステリではよくあることだしみたいな。
動物が痛い目を見るシーンもわりとあるので、そこらへんが気になるって人はいるかもですね。
まとめ。
アイロニカルな筋運びも含めてちゃんとハードボイルドでした。オチもタイトルと合わせてよく塩が利いております。
手元に置いておくと何も読むものがないときとか気楽に手を伸ばすこともありそうな感じです。いい意味で軽い。
というわけで次回作のネタを考えないとですね。はあ。
明日のラッキーオチだけ変えた意味怖の井戸
『死体は次の日も次の日も底にあった。たしかめる者がいなくなった今も変わることなく底にあった』