遅々としたペースながらなんとかかんとか書き進めつつ、合間合間にちょこちょこ読み読みしていました。
というわけで、朝暮三文『困った死体は瞑らない』です。
面白かった……のでネタバレ注意ー。
えーと、ジャンル的にはバカミスに分類されるんですかね? 警察小説の体裁を取る連作短編集ですが、ミステリというよりコメディという分類が近いような気がします。バカミスも色々ですし何をもってバカミスとするのかは難しいのでコメディミステリってことにしておきましょう。
内容としては警察内の変死体専門の捜査チーム、サーカスに所属するマジメ刑事お色気女医、下世話鑑識のお話……の、二作目。またシリーズものだし二冊目ですよ……。
でも大丈夫! コメディだからー!
ミステリなのでネタバレには十分注意しつつ。
事件の内容としては、一本目が豆腐による撲殺死体、二本目が水中で焼死した相撲取り、三本目がビルの屋上で墜落死した前田五郎、四本目が呪いの電話で死んだ前田五郎となっております。
何度でも繰り返しますが私はミステリの楽しみ方がよく分かっておりません。おりませんのでなんとなくどうやったのかを推測したのですが、一本目以外は証拠になりそうな一文目で的中しました。でも一本目が分からなかったのが悔しい!
ちなみに分かったら分かったでそうはならんやろとなりました。いやなるか。いやならんやろ。うーん?
文体はなんというかこう、凄まじい軽さでした。ギャグというかコメディだからというのもあるのでしょうが、描写も薄めで特にストレスもなくガンガン読めます。280ページと薄めなので一時間か、かかって二時間くらいですかね?
面白ポインツ! は……うーん……死に方ですかね? 豆腐で陥没骨折死を見たとき「ほう、見させてもらおう」みたいなテンションになりましたし。あと予想がバチバチ当たるのも気持ち良いかもしれません。接待ミステリというか、ほーらやっぱり! の楽しさってありますものね。
気になるポインツは、分かりやすすぎるキャラクターとそれと示すための文章がちょっとだけ少年ジャンプです。集英社だからそのように評しましたが、どっちかというとビッグコミックとコロコロの狭間みたいな感覚でして、合う人は気にならないけど合わない人にはとても合わないかもしれません。
まとめ。私のように移動時間で目についた広告を片っ端から隅々まで読んでしまうタイプの人類にとってちょうどよい長さと面白さです。ちゃんと読む手を止められて後に引きずらず、でもふと手に取ったり読み返したりしても面白いしスッと入れる。そんな感じでしょうか。
明日のラッキー尺余ったし思いついて執筆の邪魔になってる供養したい短編フレーズ集
『AI搭載型ターボジェットロケットババア……? なんだそりゃ』
『おい、やる気ないんじゃねぇのかヨ!』
『やる気はねぇって。でも人命救助はしないとナ』
『見ろよ、集めに集めたババアの映像、首都高縛り! 今はドラレコがあるから楽勝だぜ。ククク』
『なんだよ、意外とコーナーリングは雑だな、このババア』
『いや違う。時系列順に並び替えてみろ。――AI搭載型じゃねえ。学習型AI搭載ターボジェットロケットババアなんだよ』
『挑む奴が多すぎたってワケか。参ったネ。どうする?』
『だんだん分かってきたぜ、ババアの戦闘力のヒミツがな。このお団子頭だ。こいつが強烈なダウンフォースを生んでる』
『クソ! ダメだ! レインコンディションじゃ話にならねー! あのババア地面からちょびっと浮いてやがるんだ! ずりーぜ!』
『……なっ……両手を、広げて……着物のたもとでダイブブレーキってか!?』
『カカカッ、見てろよババア、空力で曲がんのはお前だけじゃねぇんだ!』
『俺以外の誰がババアを撃墜できるって言うんだ?』
『来るぞぉ、ババアが来る! クッソ早え!』
『合図ください! 湾岸塞ぎます!』
『おっしゃイケェー!』
『カーッ! ダメだ! ターボがギュインギュイン鳴ってやがった!』
『そっち行くぞ!? 加速始めろ! 計算じゃババアは400キロで突っ込んでくる!』
『悪い、やっぱ降りてくれ』
『何でさ? 別に怖かないけど?』
『お前の六十キロが余計なバラストだって言ってんだよ』
『六十キロもねーわ! バーカ!!』
『ははは! どこが400キロだよ! ガンガン近づいて――クッソァ!』
『ババアの後ろにつくなよ!? ロケットエンジンに焼かれちまうゾ!?』
『公道600キロ伝説だバカヤローッ』
『まだだ! ババアはまだ踏んでねぇ!』
『――なんだよそれ……ロケット切り離しってか……?』
『まぁぁぁぁがれぇぇぇぇぇ!』
『よっ。生きてた?』
『やべえの見たわ。ババア、二段ロケットだった』
『また、早くなるんだろうね……学習型AI搭載ターボジェット二段ロケットババア』
『コーナセッティング考えねぇとなぁ……最後、完全にバランス狂ってたわ。やっぱ必要だったよ、お前の六十キロ』
『だから六十はねーっつの』