回想編は視点が逆転していて美鶴視点ですから、彼女が聖人君子に見えますが、元作では茉凜視点で、その揺れ動く心理が大変なことになっています。
「わたしは自分勝手で傲慢で偽善者で狡いんだ」
茉凜が自己を責める場面は、彼女が自分の感情に正直であろうとする一方で、他者を思いやる気持ちとの間で苦しんでいることを示しています。彼女は弓鶴にとって「いい人」でありたいという願いを持ちながらも、心の奥底ではアキラへの嫉妬や、自分自身の存在価値に対する不安が渦巻いているのです。
茉凜は馬鹿かというくらい明るくて、強そうですが、実は複雑な心の葛藤が織り込まれていてます。
弓鶴を支えたいと願いながらも、自分自身の感情とどう向き合うか悩んでいます。
彼に対して抱く恩義と好奇心、そして彼の冷たい態度に負けずに近づいていく姿勢は、彼女の精神的なタフさを感じさせます。彼女が弓鶴の孤独や危険な力を知るにつれて、「放っておけない」と思う気持ちは、茉凜自身の不安や悩みを越えて相手を思いやる心から来ているのでしょう。
しかし、弓鶴の婚約者であるアキラの登場で、茉凜の心は大きく揺れ動きます。アキラに対する嫉妬心や、自分が弓鶴の前で「いい人」でありたいという思い。
茉凜の人間味をより深く感じさせます。弓鶴を支えたいという願いが最優先になり、自分を抑えてアキラに感謝を伝えるシーンは、彼女の内面の強さと自己犠牲的な側面を強調します。