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【魔導士物語】第十一話「石切場」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093073405921711

そんなわけで、第十一話です。

今回は、大佐がどうやって作法を身につけ、男性のステップを踏めたかの種明かし。
そして蒼城管区の農業生産性の解説です。
なんかダンスを格闘術に例えてしまい、それであっさり習得してしまう、大佐の軍事脳が面白いですねw
素直なエイナは「凄いです! さすがです!」と大佐を褒めたたえましたが、それに対して大佐はこう答えています。

「だがな、〝上手・名手〟と呼ばれる者の踊りを見ると、ダンスは〝それだけではない〟ということが分かるのだ。
 彼らはどうすればより美しく見えるか、見るものをハッとさせ感動を与えるかを、常に意識して動いている。
 あれは私には真似のできない技術だ。私の踊りは、見る目がある者には武骨としか映らんだろう」

 蒼城管区の土壌については外交官の言うとおりで、この領域はほぼすべてが大森林に覆われていました。
 作物を生産しながら、同時に土地を肥やすのはもの凄く大変で、ひとえに堆肥の量と質にかかっています。
 牛馬の糞尿が染み込んだ藁や、人糞を溜めて発酵させたものが主な堆肥となりますが、使えるようになるまで時間がかかり、手間がかかるものです。

 白城管区の中央平野は、昔から肥えた土壌に恵まれ、豊かな地域でした。
 そのため、沿岸部の南カシルから魚肥を大量に輸入し、使用することが可能でした。
 魚肥はイワシなど大量に獲れる小魚類から油を絞った残り粕で、化学肥料がないこの時代では、もっとも優秀な肥料です。

 家畜や人間の糞尿が混じる堆肥には、寄生虫の蔓延という問題がつきまとうのですが、魚肥だとその心配もありません。
 王国は魚肥の利用に関しては先進国で、中央平野の農業生産性は爆発的に上がり、その品質も高く評価されるようになりました。
 ただ、魚肥は効果が高い分、高価で〝金肥(きんぴ)〟という別名があるほどでした。
 貧しかった蒼城管区では指をくわえて見ているほかなく、中央平野との格差はますます広がりました。

 ……ああっ、革の防水性と蓑の優秀さについても話をしたかったのですが、長くなり過ぎました(^-^;

 勘のいい人は、敵が石切場に潜んでいそうだという情報で「ああ、そういうことか……」と察したと思います(よい子はネタバレ禁止だぞ)w

 「どゆこと?」という方々は、どうか次回をお楽しみに!

1件のコメント

  • 大佐の主人公ムーブが続きますね
    イケメン過ぎる
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