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【魔導士物語】第五十二話「地下室」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330669750904714

そんなわけで、第五十二話です。

エイナが首を捻っていましたが、入口の開閉システムは、巨大なゼンマイが動力で、石板の自重による落下でゼンマイを巻き、上昇のエネルギーとしています。
そこに複雑な歯車や梃子の原理などが応用され、エネルギーのロスを補っているのですが、それが本当なら永久機関が完成してしまうので、恐らく何らかの魔法技術も使用されていると推測されます。

本文で出てくる簡易製本は、いわゆる〝和綴製本〟です。洋式上製本ほど堅牢ではありませんが、糊を使用しないので長期保存に向いた方式です。

前にも説明しましたが、エルフの間に出回る書籍は、基本的に肉筆本で印刷は存在しません。
一般的な書物は、気軽に貸し出され、必要に応じて書写されるのですが、貴重な物だと公式の書写本が数部作られ、求めに応じて書写本を貸し出すことになります。

エルフはこうした原本の所有権に、異常ともいえるこだわりを見せます。
彼らは基本的に物に執着しない性格なのですが、こと書物のような知的財産に関しては別なのです。
今回発見されたネクタリウスの著作は、エルフたちにとって宝箱を見つけたようなもので、各部族は少しでも多く分け前を得ようと(それが部族長の権威につながる)、会議で醜い争いを繰り広げました。

これは内政に属することなので、外交を主に主管する王には、あまり口を出す権利がありません。
アッシュが嘆くのも分かるような気がします。

そんなわけで、次回からネクタリウスの手記が数回続きます。どうかお楽しみに!

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