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【魔導士物語】第三十六話「作戦」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330667316995044

そんなわけで、第三十六話です。

なかなかの優れモノであるドワーフの魔法武器・防具ですが、いろいろと裏があるというお話です。
防具の方は、付与された魔法属性と同じ系統の攻撃に対して、無敵の強さを誇りますが、その一方で相性の悪い攻撃にはもろいという弱点があります。
しかも、ドワーフは種族特性として、極めて頑健な肉体と地火風水のあらゆる魔法に対する耐性がある(そのために体内魔力を継続的に消費している)のですが、魔法防具は苦手な系統の攻撃を受けた場合、そうした基礎的な防御力をゼロにしてしまいます。
これはある意味〝呪い〟に近い特性ですね。

武器はAI(人工知能)のような自己判断能力を持っていて、使用者の能力に見合った威力の魔法を発動します。もっともこれは、エルフが呪文に仕込んだ制御回路のせいで、本質的には最大威力の攻撃をしたがります。
そのため、魔力が枯渇することを恐れ、自分に触れる者から魔力を吸収しようとしますが、これもエルフが呪文をいじって、制御しています。

この制限は、使用者がドワーフの場合であって、エルフには適用されません。
エルフは膨大な魔力を保有しているので、少しくらい魔力を吸われても全く問題ありませんし、魔力への抵抗力も非常に高いので、至近距離での魔法発現による反動も苦にしません。
そのため、魔法武器は最大威力の魔法を発動させることができます。

要するに、同じ魔法武器でも、エルフ >>>>> ドワーフ >>> 人間 という順で威力が変わってしまいます。

ところで、ドワーフの魔法武器は近接攻撃でしか、その威力を発揮できません。
弓の矢に魔法を封じれば遠距離攻撃ができそうですが、小さな鏃に複雑な(しかも長い)呪文を刻むのは不可能です。
では、弓矢そのものを大きくすればよいのではないか……どう考えたドワーフは、発射装置を使用して飛ばす、大弓(弩)を開発したことがあります。
しかし、その実験は不発に終わりました。
魔法武器は、使用者の攻撃意志を感じ取って魔法を発動させるので、矢は空中に放たれた途端に単なる通常武器になってしまうからです。

それと、エルフ語が難しいという話が何度も出てきます。本文でもグリンが言及しているように、エルフ語の一音一音は、三重和音で構成されています。
つまり一つの音に三つの意味を込めることができるので、その音が組み合わさった音節は、無数の意味をまといます。
エルフをこれを自然に聞き分け、理解する耳を持っていますが、彼ら以外の種族には、まったく扱えない言語なのです。

ドワーフは高い知能を持った、非常に賢い種族なのですが、そんな彼らでも教わったエルフ語の呪文を唱えられるようになるまで、何年もの修業を必要としています。

次回はエイナの作戦に乗った戦士団が、魔龍に決戦を挑みます。
果たして作戦は成功するのか、どうかお楽しみに!

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