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【魔導士物語】第二十八話「テバイ再訪」を掲載しました

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そんなわけで、第二十八話です。

セレキアを出た一行は南へ向かいます。
冒頭、セレキア郊外の農地開拓の歴史について、簡単な説明があります。

これは江戸時代に、日本海沿岸で行われた方法を、そのまま利用しています。
マツの海岸砂防林は、落葉(油を含んでよく燃える)や枯れ枝が焚き付けとして利用できるし、グミの実はジャムなどに加工できる(熟すとそのままでも甘酸っぱくて美味しい)ので、子どもたちの小遣い稼ぎになります。

セレキア南部は、南に聳える寂寥山脈の伏流水が湧き出すため、水には困らないのですが、湿地帯が多いという欠点もあり、開拓は順調とは言えません。
それでも、徐々にではありますが農業生産は増え続けており、今ではセレキアが必要とする食糧の三割近くを供給できるようになっています。

さて、『幻獣召喚士3』の第一章「私掠船の牢獄」の舞台となったテバイ村(ドワーフ村)が再び登場します。
あのエピソードから十数年が経過する間に、ユニは二度(行き返りで都合四回)、この地を訪れています。
いずれも西の森のエルフ王・アッシュや、ドワーフの親方グリン一家に遊びに行くためです。

テバイ村では、海賊から村とドワーフ市を守った英雄として、ユニとオオカミたちは大いに歓迎されています。
エルフやドワーフは、本来人間との接触を極端に避ける種族なのですが、ユニとエルフ王は友人ですし、ドワーフの親方(ギルド長)のグリンにとっては、双子の娘の命の恩人ですから、入国を許される珍しい人間と言えます。

逆に言えば、いかにリスト王国の正規の使者であっても、エイナとシルヴィアだけだと、ドワーフは絶対に入国を許可しないでしょう。
地図を見れば分かるのですが、脊梁山脈はエルフの森の北側を完全に遮断しているので、迂回は考えられません。
王国とは敵対関係にあるサラーム教国、カフタンを通過するからです。
寂寥山脈は三千メートル級の高山が連なっていますから、冬の山越えは不可能。
ドワーフが山中に掘った隧道を利用するしか、エルフが住む西の森には辿りつけません。

さて、次回はいよいよドワーフ国が舞台となります。一体、彼らに何が起きているのでしょうか?
どうかお楽しみに!

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