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【魔導士物語】第十八話「すり鉢」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330664500351942

そんなわけで、第十八話です。

ユニたちが閉じ込められた空間は、直径六百メートルほどの円形をしています。
この話が進行している現在は一月で、真冬ですから砂漠であってもハラル海は当然のように寒いです。
ところが、この砂砂漠の中は真夏のように日が照りつけ、かなり気温が高くなっています。

どうやらこの結界内は、転移された異世界的な存在らしいです。
過去にも怪物が現れてアギルの旧市街を襲ったということは、神殿の近くにサクヤ山のような特異点が発生しているのかもしれません。

アリは砂漠の民らしく、少年でありながらも砂漠で生きる術を、ある程度身につけています。
それ以上に彼は賢い子のようですね。
これまでに行方不明になった子どもたちは、閉ざされた空間を当てもなくさまよった挙句、遅いか早いかの差はあれ、いつかは〝すり鉢〟に転落してしまいます。

男の子であれば、このすり鉢とその主を観察した覚えがあるのではないでしょうか?
彼らはすり鉢を作るに当たって、強靭な頭部と大あごを使い、大きな砂粒は遠くに飛ばし、細かな砂だけを周囲に残します。
その結果、すり鉢を構成する砂は、周囲のそれよりも微細で粒がそろっています。

罠にかかった生き物は、身体中の体液を吸い取られ、カラカラのミイラみたくなってしまいます。
罠の主はきれい好きなので、こうした死骸は巣の外へ放り出します。
オオカミたちが掘り出した骨は、こうして捨てられたものでしょう。

ユニは、子どもたちを救えなかったことは仕方がないと頭では分かっていますが、どうしても割り切れないものがあります。
彼女は意外と(w)子ども好きです。多分、自分が〝産むことを許されない〟召喚士だからなのでしょう。

さて、今回はすっかりユニ視点の話となってしまいましたが、次回は本来の主人公たちが活躍するはずです。
どうかお楽しみに!

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