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【魔導士物語】第七話「ダンピール」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330662736364758

そんなわけで、第七話です。

前半はニコル編の続き、後半はやっとエイナの物語です。
とは言え、ほぼニコルとリーナ(アデリナ)の話が主で、エイナはいかにも「付け足しました」という感じです。
ちゃんとエイナ編もやるという約束を守ったんだから、これでいいのだ。国会で青島幸雄が決めたのだ(古いなぁ)。

リーナの話は大幅に省略されています。
彼女はニコルの中隊より先にマリコフ村についていたはずですが、村を監視していた吸血鬼少女の罠にはまってしまいました。
吸血鬼が利用する闇の通路に落とされたのですが、これは「どこでもドア」的ないつもの通路ではなく、少女の体内に形成された閉じた空間、すなわち闇の迷宮です。

この迷路を彷徨っている間、リーナは吸血鬼少女の五感を通して、外の世界の様子を感じ取ることができました。
そのため、彼女はニコルが命令に逆らって村人を南に逃そうとしたこと、部下と村人の野営地を襲った吸血鬼(三下)との戦いなど、おおよその事情を知ることになります。
リーナがやけに詳しかったのは、そのためです。

ダンピール(吸血鬼と人間のハーフ)と言えば、何と言っても『吸血鬼ハンターD』ですね。
リーナが黒いマントとつばの広い帽子を被り、長剣を背負っているのは、同作に対するリスペクトであります。

リーナの母はさる貧乏貴族の娘で、行儀見習いの名目で某公爵(皇帝の血縁)家で働いていました。
この公爵がオルロック伯爵と〝契約〟を結ぶことになり、伯爵は公爵家を訪れます。
その際に、美しかったリーナの母を見初めたというわけです。

伯爵はスケベ心を抱き、さっそく彼女に夜這いをかけました。
吸血鬼のチャームによって抵抗できない彼女を、伯爵は犯して処女を奪ってしまいます。
普通なら事後に血を吸いつくして殺すか、血を分け与えて眷属にして連れ帰るかの二択なのですが、彼女は契約を交わしたばかりの公爵家の使用人ですから、そうもいかずに生き延びることになります。

ところが、彼女はこの一発で見事懐妊してしまいました。
月日が経って妊娠が知られた彼女は、公爵家を解雇されて実家に帰り、リーナを出産しました。
母親は伯爵が吸血鬼だということを知っていて(快楽を増幅させるため、伯爵に血を吸われた)、出産までの間に必死で吸血鬼に関する書物を読み漁りました。

その結果、ダンピールは吸血鬼の能力を色濃く受け継ぎ、吸血鬼を滅ぼす力を手にすることを知ります。
ただ、吸血衝動に負けて血を吸うと、本物の吸血鬼に堕ちてしまいます。
出産後、母親はリーナにダンピールとしての自覚を持たせ、厳しく躾けました。

美しく成長したリーナは、吸血鬼を狩るハンターとして活動を開始します。
世間に知られることはありませんでしたが、吸血鬼側ではあっという間に噂になります。
何しろダンピールは生まれる前に始末するか、生まれた直後に殺すのが決まりでしたから、天敵ともいえる存在を認めるわけにはいきません。
当然、オルロック伯爵も彼女の身元を調査し、かつて自分が手籠めにした娘であることを知ります。

結果として、リーナの母親は伯爵の眷属によって惨殺されました。
リーナはベラスケスの支配地である南部にいましたので無事でしたが、母の死を知って復讐を誓います。
そして母が働いていた公爵家から、家宝であるミスリルの長剣を盗み出し、さらに実力に磨きをかけました。
ミスリル銀は吸血鬼の再生能力を(不完全ですが)阻害する効果があり、リーナは吸血鬼にとってますます厄介な存在となっていきます。

なお、この話の後、ニコルは名前を変えてリーナと旅をすることになります。
二人は息の合ったコンビネーションで、吸血鬼の眷属を次々と屠っていきますが。
怒りに燃えるベラスケスは、ついに自らが表に出てリーナたちを抹殺しようとします。

いかにダンピールと天才魔導士とは言え、真祖はさすがに強く、奇跡的に戦いから逃れた二人は重傷を負い、さらなる追跡を避けるために帝国を脱出することになります。

さて、次回からは本格的にエイナの話が始まりますが、ニコルたちの物語は投げっぱなしにはならず、かなり早い段階で回収されるはずです。それでは次回をお楽しみに。

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