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【魔導士物語】第三十四話「轟雷(ごうらい)」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330660641604353

 そんなわけで、第三十四話です。

 割と単純な疑問ですが、なぜ雷は光ったり音が鳴ったりするのでしょうか?
 これは上空に溜まった電気が過剰となり、一気に放電することで起こる現象です。
 詳しく言うと、落雷には何段階かステップがあるのですが、それは割愛します。

 端的な話、落雷の最高速度は時速三億五九〇〇万キロ、光速の約三分の一です。
 地球から月までわずか四秒という速度で、音速とは桁が違いすぎます。
 本来空気は電気を通さないのですが、こんな無茶苦茶な速度で電気が押し通るわけですから、もの凄い摩擦が起きます。
 摩擦が熱と光を生むのは常識ですが、稲光はこの空気との摩擦の結果起きる現象です。

 同時に、無理やり進む電気は通り道の空気を押しのけるため、急激に空気を圧縮して振動が起こります。
 これが雷鳴の正体ですね。

 この落雷は物理現象ですから、魔導士の対物理防御で防ぐことができます。
 いかにタケミカヅチの起こす落雷が強力であっても、基本的にこの構図は変わりません。

 では、魔導士が使う雷撃魔法が、この物理防御障壁で防げないのはなぜでしょう?
 実は、雷撃魔法は雷の真似をしているだけで、本物ではないのです。

 雷が発生するためには、静電気によって発生する大量の電気が必要です。
 雷撃魔法は、この大量の電気を生成するわけではなく、魔法によって放電現象を連続して起こしているだけなのです。
 つまり、本物の雷に比べると、エネルギー量が桁違いに低いのです。

 魔法反応は物理防御では防げないので、障壁内の空気中の電子を活性化させて、内部で放電を起こすことができます。
 自然の雷のような巨大エネルギーはありませんが、人間を倒せるくらいの放電なら、問題なく発生させられるのです。
 この際、どれだけ強力な放電を起こせるかは、術者の魔力に依拠しますので、同じ雷撃魔法でも扱う魔導士のレベルで変わってきます。

 さて、タケミカヅチは勇躍肉弾戦を挑みに行きました。
 エイナはカー君と組んで、大佐に一泡吹かせる魂胆です。

 次回は戦いの第三ラウンド。お楽しみに!

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