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【魔導士物語】第三十一話「宿痾(しゅくあ)」を掲載しました

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 そんなわけで、第三十一話です。

 前回に引き続き、前半はマグス大佐側のお話。後半は吸血鬼の館の話で、ほぼ同時刻に進行しています。

 マグス大佐は年齢のせいなのか、かなり性格が丸くなったような気がします。
 昔だったら、若い副官が目の前でふざけあったり、自分をからかったりするのを許していないでしょう。
 彼女はユリアンとエッカルトをかなり気にいって、可愛がっているようです。

 なお、マグス大佐の更年期障害疑惑は事実無根です。ついでに言えば、まだ大佐の生理はあがっていませんw
 彼女の風邪の治し方は独特ですが、悪事の片棒を担がされる副官はたまったものではありません。
 ちなみに、帝国軍の前線では酒の配給があります。

 飲酒は兵の恐怖や疲労を軽減するための必要悪だと考えられています。
 ただし、酔いつぶれては本末転倒なので、酒は個人ではなく部隊ごとに支給され、指揮官の管理下で一定量が与えられます。
 とは言え、中にはあまり酒が得意ではない兵もいますから、兵隊同士で密かに取引きが行われます。
 マグス大佐のような高級将校には、十分な量の酒が配給されます。
 一般兵に配給されるのは値段の安い焼酎ですが、将校にはウィスキーが支給されます。
 とは言え、高価なケルトニア酒ではなく、帝国内で生産されるもので、かなり味が違います。
 一番の違いは、ケルトニア酒が麦で作られるのに対し、帝国産はトウモロコシが主原料という点です。

 マグス大佐には十分な量の酒が回ってきますが、彼女は酒豪なのであっという間になくなります。
 そのため、大佐に命じられた副官が酒保に忍び込むのは日常茶飯事です。
 食糧を管理する炊事部隊では、大佐は要注意人物としてマークされていますが、彼女の副官は優秀な魔導士なので、魔法を悪用して盗み出すことが多いようです。

 酒保の方でも酒瓶を隠したり、中身を酢とすり替えるなど、様々な抵抗を試みています。
 そのため、時には軍医のテントから消毒用の焼酎を盗んだり、一般兵が密かに作った密造酒を買い込んだりすることもあるようです。

 酒と言えば、オルロック伯爵が交渉成立のお祝いとして用意した〝酒精強化ワイン〟とは、ワインの醸造過程で蒸留酒を加え、アルコール度数を上げたものです。
 アルコールの度数が上がると酵母の働きが止まって糖分が多く残るため、甘みが強いのも特徴です(酵母は糖分を分解してアルコールを造る)。
 聞き慣れない名前ですが、ポートワイン、シェリー酒などと言えばイメージしやすいと思います。

 こうした酒精強化ワインの醸造で使用された樽は、ウィスキーの熟成用に再利用されています。
 甘く華やかな香りがつくので、ケルトニア酒でも盛んに使われています。

 さて、黒死山では変事が起きましたが、原因は言うまでもなくあのお方です。
 まるで「このすば」のめぐみんのようなことを言っていましたねw
 次回は滅茶苦茶になりそうな予感がしますが……どうぞお楽しみに。

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