https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330660010102202 そんなわけで、第三十話です。
前半はマグス大佐側のお話。後半は吸血鬼の館の話で、ほぼ同時刻に進行しています。
この時代には、まだマッチは発明されていません。
そのため、火をつけるのは結構面倒な作業です。
最初の発火は、火口(ほくち)と呼ばれる発火しやすい物に、火打ち金・火打石を使って火花を出し、発火させます。
火口は燃えやすいものなら何でもよく、ほぐした紙や紐だったり、乾燥させた杉の葉や松ぼっくりなど、様々です。
この火を、附木(つけぎ)という、硫黄を塗った薄い板に移します。
附木は結構な燃焼時間があるので、これがマッチの代わりとなります。
帝国やケルトニアの技術水準なら、マッチが発明されていても不思議はないのですが、どうも火薬の発明につながるような技術には、見えない制限がかかっている感じです。
オルロック邸の晩餐については、伯爵の説明どおり、調理を担当する男性の眷属がいます。
プリシラが男色を皮肉っていますが、眷属を作る際の性交は、特に必要とされません。
伯爵が少女の処女を奪うのは、単なる趣味に過ぎません。
真祖には当然女性もあり、女性吸血鬼の眷属は男性が多くなる傾向です。
つまり、吸血鬼には性欲があり、人間と性交を行うことはごく普通のことです。
吸血鬼同士の性交も当然行われます。
問題は、そこで妊娠するかどうかなのですが、吸血鬼同士の性交で妊娠することはありません。
しかし、男性吸血鬼が人間の女性と性交した場合に限り、妊娠の可能性は稀にあります(その逆はない)。
生まれてくるのはハーフの吸血鬼となりますが、能力が大幅に制限されるため、吸血鬼としては出来損ないということになります。
そのため、運よく生まれたとしても、父親である吸血鬼によって殺されます。
というより、妊娠が発覚した段階で、妊婦ごと殺されてしまいます。
さて、マグス大佐の秘密とは何か?
プリシラは伯爵の要求に応じるのか?
次回をお楽しみに。