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【魔導士物語】第二十三話「前日祭」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330658956808067

 そんなわけで、第二十三話です。

 本文でもさくっと説明していますが、この世界ではおおむね月の満ち欠けを基準とした「太陰太陽暦」を採用しています。
 〝おおむね〟と言ったのは、大陸南部の黒人国家群だけ、「太陰暦」を使っているからです。
 太陰暦は一年が三五四日なので、年に十一日ずつ季節と暦がずれていきます。
 それを調整するために、三年に一度「閏月」を設けて調整をするのですが、純粋な太陰暦はこれを行わないため、どんどん季節がずれていきます。
 ですが、このずれは三十年が経つと一周して元に戻るのですね。

 閏月のある年は一年が十三か月あり、例えば八月の次に九月ではなく、「閏八月」が入るといった具合です。
 この閏月がどこに入るかは、最初の内は国によって違っていました。
 後に天文学の発達で、どこに閏月を挿入するかが統一されます。この物語の時代もそうなっています。

 日本も明治期に太陽暦に切り替わるまで、太陰太陽暦を採用していました。
 そのため、古文書を読んでいると、よく「閏○月」という文字に出くわします。
 庶民は閏年がくる年は覚えていますが、その年の何月が二回あるのかまでは知らないので、暦の存在は結構重要です。
 年末になると、こうした暦(木版刷)が、宗教関係者や商人から配られるのが風物詩です。

 江戸時代に、初めて日本独自の暦(貞享暦)が作られましたが、これを考え出したのが天文学者の渋川春海です。
 この人は囲碁の家元の出で、棋士としては安井算哲(二世)と言いました。
 棋士としては七段上手(名人・準名人を除くと最上位)ですが、強さは並です。
 ただ、天文学の考え方から、「初手天元」(天元は碁盤の中央。囲碁では四隅から打ち始めるのが常識)をやった人として名を残しています。
 この春海(算哲)を主人公とした小説が冲方丁の『天地明察』で、映画にもなりました(面白かったです)。

 さて、「帝国の魔女」マグス大佐が現れたことを知らないプリシラですが、彼女の出番が迫ってきました。
 どうなるのかは次回のお楽しみ!

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