https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330657461093042 そんなわけで、第十三話です。
あんまり話が進まないので、いいかげん焦れてきましたw
後半のシルヴィアのパートは、普通のペースだとここだけで一話分消費するところですが、かなりはしょりました。
そろそろ盛り上がってくる……はずです。
アフマド族の主食は乳製品と肉だということは以前にも説明しました。
パンや麺類も食べますが、これらは副次的なもので、主食ではありません(どちらかといえば贅沢品で、祭りなど何かの儀式の際に食べるもの)。
エイナが茂みから観察していた際に、女たちが竈(かまど)でパンを焼いているという描写がありました。
彼女にとってパンはありふれたものなので気づいていませんが、アフマド族の食習慣を知っている者なら、
「あ、これは何かのお祭りが近いのだな」
と気づいていたはずです。
エイナもまだまだですね。
彼らが飼っている家畜は、第一に羊、次に馬、そして山羊という順番です。牛はほとんど飼われていません。
したがって、乳もこれらの家畜から絞っています。
当たり前の話ですが、乳は仔を育てるためのものですから、仔を産まなければ出ません。
ほとんどの家畜の出産時期は春なので、春は消費しきれないほどの乳が採れます。
そのため、余った乳はチーズやバターなどに加工され、一年を通して食べることができます。
妊娠してから約一年は乳が出るのですが、翌年の春には次の出産を控えています。
お腹の仔に栄養を回すため、出産前の数か月は搾乳を止めます。
つまり、冬の間は新鮮な乳を飲むことができなくなるわけです。
その不足を補うため、冬期間は老いて仔を産めなくなった個体を殺し、その肉や血を食べているのです。
家畜は大切な存在なので、無駄に捨てられる部位はありません。
内臓(ホルモン)も当然食べられます。
特に未消化物が詰まった腸はとびきりのご馳走で、ほとんど野菜を食べない遊牧民にとっては、ビタミン欠乏症を防ぐ重要な栄養源となっています。
飼っている人なら知っているでしょうが、ウサギは自らの糞を食べます。
盲腸で作られた糞は未消化の栄養が豊富で、これを食べて小腸で再消化しているのです。
ウサギに関する民俗関係の書物を読むと、人間も糞の詰まったウサギの腸を食べていたそうです。
お年寄りの話では、五、六十年前はごく普通に店先にウサギが吊るされていたということで、そうした写真も残っています。
さて、次回は謎の来訪者の正体が明らかになります。事態は急展開を継げるはず……です。どうかお楽しみに!