• 異世界ファンタジー
  • 詩・童話・その他

【魔導士物語】第五話「後方支援」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330656276446473

 そんなわけで、第五話です。

 今日は時刻のお話。

 本文中でエイナとシルヴィアに「午前九時にマリウスのもとへ出頭せよ」という命令が伝えられます。
 この際、「〇九〇〇(まるきゅうまるまる)時」と時刻を表現しています。
 これは軍隊独特の表現ですが、二十四時間制で聴き間違いを防ぐためのものです(世界各国の軍隊共通で、当然自衛隊も同じです)。
 例えば「午後二時半」であれば、「ひとよんさんまる時」になるわけです。
 一般市民は、ごく普通に午前・午後をつけた十二時間制を使っています。

 この時代にも、機械式時計(ゼンマイの手動巻き)は存在していますが、王国では生産できず、すべて帝国からの輸入品です。
 これらは限られた大型施設にしか設置されておらず、大きな「柱時計」です。
 個人で持ち運びできる「懐中時計」もありますが、柱時計(これ自体が高価)より数十倍も高い高級品で、貴族や大金持ちの商人、軍隊では佐官以上の高級将校くらいしか持っていません。
(例えば、参謀副総長のマリウスや、帝国のマグス大佐などは、結構いい懐中時計を持っています)
 軍でも柱時計があるのは本部や大規模な駐屯地に限られます。

 じゃあ、その時計を合わせるための、基準となる時間はどうやって計っているのでしょうか?
 これは、昔から変わらず太陽が南中(真南に位置)する瞬間を観察して、それを昼十二時と定めています。
 そのため、軍や行政機関には、必ず太陽の動きを観測する天文係がいます。
 機械式時計でも、一日に十分以上時間がずれるのが当たり前なので、毎日正午に修正が行われます。

 雨などで太陽の観測ができない場合に備えて、天文係では水時計と砂時計を併用しています。
 また、大きな町では三十分ごとに鐘を鳴らして庶民に時刻を伝えるほか、機械式時計を備えている施設でも、同じことが行われています。
 軍でも小規模な駐屯所の場合は、主に砂時計が使われています。

 このように、都会では割と正確な時刻を簡単に知ることができますが、田舎ではこうはいきません。
 ですが、よくできたもので、農民などは太陽や月・星の位置で大体の時刻を把握する能力を持っています。
 基準となる太陽などの位置は、季節や緯度によって変化しますが、彼らは感覚的にそうした変化を補正し、結構正確な時刻を割り出しています。

 エイナとシルヴィアに関しては、まだ准尉(下士官に毛が生えたような下っ端)なので、懐中時計など夢のまた夢です。
 ですが、彼女たちは魔導院で時刻を知るさまざまな方法を叩きこまれていますので、野外でも時刻が分からなくなることはありません。

 さて、今回の話でエイナとシルヴィアが絡んでくることがはっきりしました。次回は再びプリシラの行動に焦点が当てられます。どうかお楽しみに。

 将棋叡王戦の第二局は、菅井竜也八段が鬼のような強さを見せて完勝しましたね。(*^-^*)
 素人の私は、藤井叡王の方を基本的に応援しているのですが、主流派とは言えない振り飛車戦法を頑なに手放さず、「振り飛車で藤井さんを倒すのは自分しかしない」と言い切る姿はもの凄くカッコよくて、思わず拍手を贈りたくなります。
 何より盤面に覆いかぶさるようにして身体を揺らす、厳しい表情と気迫に圧倒されます。
 名人戦もマンガの「将棋の渡辺くん」の影響で、渡辺名人に頑張ってほしい! でも、藤井クンもガンガレ! と滅茶苦茶楽しんでいます。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する