https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330655993010117 そんなわけで、第三話です。
「主人公のエイナとシルヴィアはいつ出てくるんだ?」
と言われそうですが、そのうちにちゃんと出演しますから、どうかお待ちくださいw
コルドラ大山脈は、基本的には峰々が連なる巨大な山塊です。
カムイ山とクンネライ山のような独立峰は、かなり珍しい例です。
この二つの山は、裾がある程度重複していて、距離的にはかなり接近しています。
東西の裾が重なり合っているとはいえ、独立峰なので、南北の裾の部分は平地よりも二、三百メートルほど高い程度です。
ですから、東西の行き来が容易(他の山脈部分に比べて)で、一応道もあるのですが、実際には誰も往来していません。
というのも、山脈の西側はアフマド族という北方遊牧民族の領土だからです。
東側の帝国領は、山を越すとすぐに北部大森林と呼ばれる広大な針葉樹林帯になっています。
羊や馬の牧畜により生活しているアフマド族にとっては、東に進出してもまったく意味がありません。
ノルド人たちも農耕には興味がありませんので、西側の草原地帯に出て行く気がありません。
山脈の東側で、帝国人が入植して開拓をしているのは、南のボルゾ川に沿った地域なので、北の山岳・森林地帯には近寄りもしません。
ノルド人は山岳民族で、農耕をしていません。
彼らの主要な産業は林業で、食糧は狩猟と山菜・木の実・キノコ類などの採取に頼っています。
製材した木材、炭、毛皮類は、南の帝国人に売却され、生活に必要なものの購入に当てられます。
もちろん、一部は租税として納められています。
若者は傭兵として出稼ぎに出る場合があります。
ノルド人はおしなべて体格がよく勇猛、視力がいいことが特徴で、優れた兵士の素質を持っています。
年中戦争をしている帝国にとって、ノルド人傭兵は重宝されており、斬り込み隊のような突破戦力として使われています。
ノルド人の傭兵団は歴史が古く、いくつかの大部族がそれぞれの部族名を冠した傭兵団を結成していて、小部族の若者はこうした傭兵団に参加する形になります。
各部族の男たちは、若いころに傭兵を経験して生き残った強者揃いなので、その戦闘力は凄まじいものがあります。
そのため帝国も彼らと対立することを避け、傭兵として利用する代わりに、全国民の義務である徴兵制度を免除しています。
今回で章タイトルの「黒死山」が出てきましたので、「ここで何かの事件が起きるんだな」とか、「アフマド族が出てくるのかな」とか、大体の話の方向が見えてきました。
そんなわけで、次回をお楽しみに。エイナちゃんは出てくるのかな?