https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16817330650203423753 そんなわけで第十一話です。
前半は前回の続きで、後半ではタイトルどおり軍事教練の話で、エイナは十三歳、二年生になっています。
王立魔導院は、召喚士(現在はそれに加えて魔導士)を養成する国の機関です。
生徒たちの学費や生活費まで国庫から支出されていますが、それは生徒たちが卒業したら軍務に就くことを前提としているからです。
卒業時の召喚儀式で二級召喚士と判定されると、軍務に就くかどうかは召喚士の自由意思に任されますが、それでも半分近くは軍に入ります。
六歳から世間と切り離されて過ごしてきた彼らに、いきなり「明日から自分で稼いで生きていけ」と言っても、困惑するばかりでしょう。
その点、軍は約束された就職先で、しかも召喚士は一年間の促成教育を受けたのち、最初から士官待遇(大半は准尉、能力値の高いものはいきなり少尉の場合もある)です。
そのため、魔導院ではかなりの時間を割いて軍事教練を実施しています。いきなり士官となる彼らに、それなりの実力が伴っていないと困るからです。
この辺の事情は、魔導士課程でも一緒です。
ただし、六歳から教練を受けている召喚士候補生と、十二歳で初めて経験する魔法科の生徒では、まったく技量も経験も違います。
召喚士科と魔法科の教練が合同になり、召喚士候補生が指導する立場になったのは、将来士官として部下を教育する場面を想定したものと思われます。
それまで教わるだけだったのが、人を教える側になることで、改めて自分の足りない部分に気づいたり、新たな視点を得ることができるだろう――との狙いがあります。
それと、両科生徒の交流も促進されるだろうとも考えられました。
ちなみにこの合同教練は二年間(魔法科の二~三年生・召喚士科の八~九年生)だけの限定的なものです。
さて、実を言うとエイナの子ども編は今回で終了です。
次回からは時間が飛んで、エイナは十七歳、つまり卒業を控えた最終学年になっています。
そして、まだ序章であることには違いありませんが、やっと事件、冒険、陰謀が関わってくるようになります。お楽しみに。
私は大学時代に囲碁部に所属していたので、段も持っています。
それに比べて将棋はまったくの素人で、駒の動かし方が分かるものの、定跡や戦法などはちんぷんかんぷんです。
それでも、藤井聡太さんのタイトル戦があると、アベマの無料中継を一日中つけっぱなしで見て感心しています。
将棋の中継では、プロ棋士の解説+女流棋士のアシスタントという組み合わせで進行しますね。
長考する間の時間の繋ぎ方なんかは結構面白く、まったく将棋や対戦者と関係ない話で延々と盛り上がったりして、話をする機会が多い自分には大いに参考になります。
ところで、アシスタントの「女流棋士」は将棋独特の存在で、囲碁では存在しません。
囲碁の場合は女流ではなく「女性棋士」、つまり男性と同じプロ棋士で性別が女性である方がアシスタントを務めています。
わずか九歳で最年少プロとなり話題になった中邑菫ちゃん(現在は十三歳で、めちゃくちゃ強くなっています)も、男性とまったく同条件で戦っている女性棋士の一人です。
将棋の場合は不思議なことに、女性がプロ棋士になれないため、仕方なく女性だけのプロ組織が作られているのです。
過去何度も「女性棋士」を目指した挑戦がありましたが、ことごとく敗れ去っています。今年も「出雲の稲妻」こと里見香奈女流五冠が挑戦して夢破れています。
囲碁よりも将棋の方が競技人口が多そうなのに、不思議ですね~。