https://kakuyomu.jp/works/16816452221210723112/episodes/16817139558248316202そんなわけで三十七話です。
■食糧難に陥った占領軍は、外部から食糧を持ち込んでくる新市街の商人から、こっそりと仕入れをしていました。
黒城市民に偽装しても簡単に見破られ、かなり高い値段を吹っかけられています。
その辺はお互いに納得づくなので、特に問題はありませんでした。
こうした内情は、当然王国側に通抜けになっています。
王国としては、この食糧供給を止めたいところですが、城壁内の市民の命綱となっていることから、黙認する格好となっていました。
黒城市という巨大な貿易都市が生み出す富は莫大でしたが、現在は経済活動が完全に停止しています。
この上、消費地としての役割まで停止されてはたまったものではありません。
■さて、マグス大佐は作戦を主導する司令部(情報部)に対し、食糧を寄こさないのなら独自行動を取るという最後通牒を出していました。
大佐が具体的にどういう行動を取るつもりだったかは、今回の話で明らかにされていますが、情報部では当然その内容を予想していました。
マグス大佐は極めて現実的な思考の持ち主ですから、名誉よりも損得勘定を優先すると分かっていたからです。
ただ、そんなことをされては、作戦を主導した情報部の面目は丸潰れとなります。
あまり損害を出さずに敵の大都市を占領したという実績は、戦果として誇るべきことなので、ノルドの割譲が成らなくても軍事的には意味のある作戦だと評価される。
マグス大佐はそう考えているのですが、情報部はそれでは困るのです。
一方、情報部以外でも、マグス大佐の行動を予測していて、それを阻止したいと考えている勢力がありました。
彼らはある人物をクレアに送り込み、表面上情報部と結託してマグス大佐の説得にかかります。
今回は、そんなお話です。
■何だか黒城市をめぐる戦いが、どんどん複雑になっていきます。
そんな中、次回とうとうマグス大佐が動き始めます。どうかお楽しみに!