https://kakuyomu.jp/works/16816452221210723112/episodes/16817139556523755543そんなわけで第二十一話です。
■エイラ・クライゼ少佐は三十三歳、魔道院ではユニの三つ上の学年で、九年間同じ学び舎で過ごしたことになります。
国家召喚士になるくらいですから、彼女は文武両道に優れていましたが、どちらかというと「武」の方が得意でした。
そのせいもあり、エイラは座学は劣等生でも元気で動くことが大好きなユニが気に入り、妹分のようにして何かと可愛がっていました。
ユニは今でも彼女のことを「エイラ姉さん」と呼んで慕っています。
エイラ自身も勝気な性格で、いわゆる〝じゃじゃ馬〟だったのですが、先代の黒蛇帝ヴァルターに鍛えられ、副官としても部隊指揮官としても、大きく成長しました。
当然エイラはヴァルターを敬愛していましたが、男性として密かに恋心を抱いていたようです。
黒蛇帝が当代のエギルになってからも、引き続き副官を務めています。
エギルはヴァルターと正反対の知性派ですが、彼女は敬意をいだきつつも、弟のような目で見ている感じです。
■召喚士は、自分が契約した幻獣に名前をつけます。
エイラの幻獣ケルベロス単体には名前がなく、エイラはその三つの頭それぞれを名づけています。
本文でも説明していますが右からヤヌス、フェブルス、マルスですね。
ちょっと理屈っぽくなりますが、実際にはこれとは全く違った名前です。
ヤヌス、フェブルス、マルスはそれぞれ1月、2月、3月を意味しています。
ヤヌス=Janus。January(1月)の由来で、ローマ神話の神。ギリシャ語だと「ゼウス」です。
フェブルス=February(2月)の由来で、ローマ神話の神、Februaria(フェブルアーリア)から。
マルス=Mars。March(3月)の由来で、ローマ神話の軍神の名です。
この世界にギリシャ・ローマ神話があるはずもなく、実際には各月の名称は、独自の古代神話に基づいたものとなっています。
ケルベロスの三つの首も、それに由来した名前なのですが、それでは読者に意味が伝わらないため、翻案した名前だとご理解ください。
■さて、次回はクライゼ少佐とマグス大佐の対決となります。人質を盾に取っているとはいえ、圧倒的不利な立場の帝国軍は何を企んでいるのでしょうか?
どうかお楽しみに!