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3月32日

~今日の日記~

改稿の上で連載していた『うんりょー!』を、今日何とか完結させることができた。
ストックが作れないまま締め切りギリギリまでかかったことで出来栄えの方は今一つ自信が持てないが、とりあえずビーンズ大賞の応募要件は満たせたことでほっと一息をつく。

……さて、頑張った自分へのご褒美に、祝杯をあげることにしよう。

俺はノートPCをそっと閉じると、お気に入りの芋焼酎を愛用の銅のカップになみなみと注いだ。

カクヨムでのペンネームは “陽野ひまわり”。
主に女性向けの恋愛小説を書き、交流のある作者様達からは「ひまわりちゃん」と呼んでいただいている。
ノートや応援コメントのやり取りで親睦を深めた作者様が多数いらっしゃる中で、今さら俺が五十代のおっさんだという事実を公表なんてできるわけがない。

女性とほとんど付き合ったことのない独身の俺の趣味は、小さな頃から少女漫画や少女向けの小説を読むことだった。
主人公の少女と共に切ない片思いに胸を痛め、思いが通じた喜びに涙を流し、甘いシチュエーションに心ときめかせてきた経験を活かし、恋愛小説を書くことを現在の趣味にしているのだ。

自分の作り出したヒロインに心を重ね、切なさやときめきを思う存分追体験する楽しさを味わいたくて小説を書き始めた俺は、当初作品をひっそりと公開するだけで満足するはずだった。
しかし、俺の書いた小説に評価をくれたり、近況ノートに感想や応援を書き込んでくださる方が現れたことで、俺は次第にサイトの中で他の作者様とコミュニケーションを取るようになった。

言い訳になるが、俺はこれまで自分が “女” であると嘘をついたことが一度もない。「私」という言い方は社会経験をある程度積んだ男ならば公的に使用する一人称代名詞であり、特に何の意図もなく使用したに過ぎないのだが、いつしか俺のことを明らかに女性だと勘違いしているような作者様が増えていることに気がついた。

しかし、今さら俺がおっさんであることを公言して、せっかくのフォロワーさんやお友達になってくれた作者様が離れて行ってしまうのも怖い。
「おっさんがあんな恋愛小説を書いたなんてキモッ!!」と侮蔑の目で見られることも耐え難い。

今回書き上げた『うんりょー!』も、ビーンズ文庫の読者層を意識してかなりキラッキラな青春ラブコメ路線にしたつもりだが、それが逆に俺のイメージを夢見る乙女キャラへと方向づけた気がしている。

このまま女流作者の仮面をかぶって恋愛小説を書き続けるか、おっさんの妄想の産物であることを公表してしまうか、俺にとっては大変悩ましい問題である。

五臓六腑に染みわたる芋焼酎の酔いの中、俺は今日も答えの出ない葛藤に浸りつつ眠りにつくのであった。



※くろさんのエイプリルフール企画にのっかりました♬
https://kakuyomu.jp/users/kuronekoya/news/1177354054885457291

とにもかくにも、『うんりょー!」なんとか完結させることができました✨
お読みくださっている皆様に心から感謝いたします!
どうもありがとうございました!!
明日からはカクヨムでもリアルの方でも、優先順位で後回しにしていたことにぼちぼち取りかかっていくつもりですので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします♡

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