「負けやしないわよ。この世では……策謀という名のもとに、騙し討も正当化されよう。小賢しさが良しとされるなら、それがしは義を以てそれを討ち払うまで……」
「戯言を……義などこの世にありはしない……あるのは強者と弱者のどちらかのみ!! そして暴力と金こそが強者の証……!! この街を見ろ? 弱肉強食の掃き溜め、世界の縮図……この街の存在が世界の摂理を証明している……!!」
壁一面のガラスを背にミスター劉は両手を広げて見せると声高に叫んだ。
「見ろ!! これが世界だ!! 素晴らしき弱肉強食の世界だ!!」
灰色の青龍街の彼方には花街が極彩色のネオンを輝かせ、か弱い星明かりなどいとも容易く掻き消してしまう。
そこは猥雑な喧騒が、誰かの悲鳴すら飲み込む街、NEO歌舞伎町。
人知れず流す音のない涙など、|凝灰岩《コンクリート》に染み込んで、跡形もなく消える街。
その有り様を痛いほど知るさくらにとって、ミスター劉の言葉には否定しがたい真実味があった。
「私を弱いと言ったな? しかし世界は私を強者と呼ぶ!! 少々腕に覚えがある程度の侍風情が……世界の|理《ことわり》に歯向かうなど、片腹痛いわ!!」
違う……!!
そう叫びたいのに、言葉が出ず、代わりに噛み締めたさくらの唇から血の味が滲む。
「さくら……!!」
その時、金ちゃんの澄んだ声が響き渡り温かな春風が吹き抜けた。
俯いていた顔を上げると、爽やかな笑みを浮かべた侍が、背筋を伸ばして凛と立っている。
「さくら、この男の言葉を鵜呑みにするなかれ。確かに世界は汚れていよう。しかしそれは、この世の|真《まこと》の姿にあらず……」
「金ちゃん……」
「まだ数は少なくとも……そなたはその目でしかと見たはず……弱くとも助け合う人々を。そしてその者達が持つ、黄金に輝く魂を……!!」
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最新話の切り抜きです(*´ω`*)🌸
オカマ、満開、真っ盛り!!
熱い血潮が迸る、笑いと涙の武士道譚!!
新たな一歩を踏み出すあなたの背中を押す、 そんな作品になることを願って…!
そして頼もう!!
俺の背中も押してくれい(´;ω;`)✨
https://kakuyomu.jp/works/16818023212771832265/episodes/16818093074534641155