三浦常春

「惚れ薬が欲しいんです」 山同然の田舎に住む魔女、小柳パナシィのもとに一人の少女が訪ねてきた。 曰く、誰かを好きになったことがないから恋をしてみたいのだとか。 好奇心ゆえなの…

竜とともに生きる国、シュティーア王国。 平和な王国に、青春を魔術に捧げた少女がいた。 名を、プランダ・ベッカー。 一介の村人から王宮所属の魔術の研究者まで駆け上がった少女は、…

【第2章「仲立つクマの見聞録」始動】 自称零感にして無自覚霊媒体質の主人公、無洞純は、霊能力者ばかりが所属する事務所「久狛井探偵事務所」にスカウトされる。 当初は事務仕事ばか…

布団の魔力、とは随分と使い古された表現ではあるけども、言い得て妙だと思う。 やることはあるけれど急用ではない。 そんな日はどうしても布団の誘惑に負けてしまう。 どうして人類は…

ある日、ある橋の上で、落ち込んでいる一人の若者を見つけた。 曰く、「金を持っているか」と。 若者に導かれるまま未知の世界――パチンコ屋へと足を踏み入れたけれど、己を待っていた…

電波を拝借して『ラジオ体操』なるテレビ番組を見た。 骨を芯に据えた棒きれのような身体はとても動きづらそうだが、天性を活用する道筋を見出す能力は、やはりどの生物にも備え付けられた…

本屋を営む最中、あることに気づいた。 コーヒー豆の減りがやけに早い。 重い腰に鞭打って、やっとのことで買い出しに出掛ける。 本だったら、もっと身体が軽いのに。 道端で人間に…

転移装置におけるバグによって生み出された『真っ黒な本』。 それは転移装置使用時には一定の確率で起こり得るものだが、ある意味では人災とも呼べる。 だって本は持ち歩けるもの。 …

人類社会における『客』と『カミサマ』は同一のものである。 しかし宗教を解さぬ今、カミサマは存在しうるだろうか。 客とは己の存在意義を擁護するための、極めて自己満足的な妄想にす…

人類文化学を専攻する友人から「『人類らしさ』はこの本屋を訪ねれば分かる」と過分な評価を貰った。 『人類らしさ』って何だろう。 ――これは、とある廃屋で本屋を営む「蠅ｨ鬟溘＞陌…

時にして西暦2100年代。 温暖化に次いで訪れた氷河期により、人類は存亡の危機に瀕していた。 食糧事情の悪化が進んだ世界では、「ホモ・サピエンスの存続」を第一と考えて精鋭化を…

唯一にして二つとない個性があった。 その個性、『能力』と呼ばれる異常と、それを持つ少女を育てる学園に入学した成宮明里は、予想をしていた学園生活とは全く異なる事態に遭遇してしまう。…

【第4章魔術学校編、完結！】 「世界を救う神器〈兵器〉を探せ」 一国の王から命じられた魔族の少年リオは、相棒のカーンとともに世界をめぐる旅に出る。 砂漠の港に始まり、魚人族…

『推し活』の有用性が科学的根拠をもとに立証された世界。 これは、とある女子高生の凡庸で、しかしひどく切実な悩みのお話。 『推し』と好き、優劣なんてあるのかな。 ＝＝＝＝＝＝＝…

傘を持って通学路を歩く。 みなさん一度は経験したことがあると思います。 これは、自分の傘と自分のものではない大きな傘を持って通学路を歩く少年の話です。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝ …

覚えていたかった、あの日のことを。 大切な友人が死んだと告げられた日の覚書です。 あの日の感情は一生忘れてはならない。 命日は正確に言うと今日じゃないけど、私にとっての命…

117番植民地こと「カップランド」。 広大な土地と堅牢な壁に囲まれた国には孤児院ある。 孤児を集め、兵を育てるその院で、優等生の名を欲しいがままにする少年がいた。 その名もイア…

はらりと落ちた黒髪が視界を囲う。ジージーと、いつもはうるさい虫の声が遠のき、躍動する心臓が鬱陶しいほどに主張する。いつかのように密着した幼馴染の肌は燃えるように熱かった。 「い…

さてさて、これより語るのは、幼き私が体験した紛うことなき現実の話。 黄昏時の一本道、学校から家まで１キロとない住宅地。そういう“何でもない日常”に、奴らは紛れ込むのでございます…

★番外編公開中！ 積みゲーを消化しようと思い立った「俺」が開いたのは、MMO開拓シミュレーションゲームだった。 その名も『Gate of World』。 いずれ来たる魔王討伐…

あの月は私の友達だ。

気づいたらダンジョンだった！ そんなありきたりな展開を、予習済だと受け入れる主人公。 すぐ傍には「ダンジョンを脱出しましょう」と書かれた看板があった。 訝しむ間なく、彼女は指…

婚約が決定し、彼女の実家を訪れた主人公「俺」。 絵画のように美しい谷合の村を前に詠嘆する主人公だったが、彼女曰く、この土地はかつて草木が生えず、川の水すら一切飲めないほど荒れた…

　白いワンピースに黒髪。後ろ手を組み、それはじっとこちらを見つめている。それに出会ったら、何を話し掛けられようとも決して応じず、静かにその場を立ち去らなけらばならい。 　そんな…

時はカニカマ歴48年。 赤い皮膚に白い繊維のアイツは、憎きカニを討ち取るという宿願を果たした。 全てはカニの地位を侵略し、カニとして食卓に並ぶため。 その野望を果たす前に、先…

――4年に1度だけ咲く花がある。 その噂を聞きつけて、「僕」は山を登る。 山の頂上で待っていたのは青々と茂る木と、羽衣のような白い花。小さな祠。そして赤いワンピース姿の少女だ…

クルッ！クルルッ！ （ヤバイ、授業に遅れる！） クルルルッ、クルッ、クルルルルッ！！ （急いでいた長谷の前に現れたのは白い鳥だった！） クルルルッ、クルッ、クルッポーーゥッ！…