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コブナ

 私が生まれて初めて釣った魚は、小さな鮒です。
 たぶんヘラブナではなく、マブナ。

 幼い頃、父に連れられて近所の池に行き、延べ竿と玉ウキで釣りをしました。
 餌は活き餌だったか、練り餌だったか憶えていません。

 とにかく鮒が釣れ、幼児の心に鮮烈な歓びを植え付けました。
 釣りに対する渇望が生まれ、また連れていって、と父にねだりました。
 カレンダーの日曜日の欄に、つり、つり、つり、と書きまくった記憶があります。

 父は特に釣りが趣味というわけではなく、二度と連れていってくれませんでした。

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