こんにちは。
今回紹介するのは
坂口安吾『不連続殺人事件』です。
坂口安吾の名を知っている人は多いとは思いますが、実際に読んだことのある人は案外少ないのでは?
前にアニメで『UN-GO』っていうのがありましたが、あれは坂口安吾を原作にSF要素を加えて全く新しいストーリーにしたものでした。結構好きなアニメ。
で、坂口安吾を読むとなった時に、思想・評論を読むか、それとも小説を読むか迷いますよね。私は最初思想論の「堕落論」を読みましたが、うん、よくわからん、と。
そんなわけで今度はミステリーである「不連続殺人事件」を読むことにしました。
適当にあらすじを書くと、「とある山中の館に集まった十数人の男女。殺人予告めいた手紙を受け取った主人公は、警戒しながらも館で過ごすが、数日後、一人目の被害者が見つかる。それから次第に増える被害者。男女の不信感と嫌疑がうずまく中で、犯人が連続殺人を行ったトリックとは…」みたいな。
典型的な館モノって感じですね。
そして、ともかく登場人物が多い!
名前を覚えるのは大変かなとも思いましたが、それぞれ個性が出ていて案外分かりやすかったです。あだ名も頻繁に出ますし。
それから登場人物の関係が非常にドロドロしてます。昼ドラかよってくらい。浮気に不倫に後妻に、酒乱、偏屈、インラン。
こんな具合にミステリーにはうってつけの舞台が用意されている上に、事件のトリックは案外シンプルでありながら、犯人は分からない。
この小説は、発表当時犯人当ての懸賞までついたくらいのものだったらしく、それだけ練られた構成になっています。考えながら読む私にとっては非常に楽しめる内容でした。
坂口安吾のミステリーでは『明治開花 安吾捕物帖』も有名ですが、とりあえず一作読んでみたいという方には『不連続殺人事件』をおすすめします。