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読書紹介・3冊目

 今回紹介するのは「ドクラ・マグラ」。
 そう、日本三大奇書の一冊にも数えられる、
 夢野久作の「ドグラ・マグラ」です。

 私が夢野久作の作品で最初に読んだ小説でもあります。
 長編のミステリーor幻想小説で、大体上下巻で売っていますね。

 主人公はとある精神病院に入院(収監?)している美少年、彼はある日突然自我を取り戻し、病院の先生によって独房を出されます。先生は彼を連れてとある部屋を訪れ、彼にあるものを見せます。それは「ドグラ・マグラ」という書物。また、主人公は過去に起こった複数の事件に関係していると見られ、次第にその全貌が明らかになっていくのです。

 などと、要約を試みようとしても到底無理なのが「ドグラ・マグラ」。事件の結果が後から明らかになっていくという展開はまあミステリーではまあある設定ですが、そもそも主人公は自分が誰なのかが分かっていませんし、もう一人の事件に関わる人間である少女は気が触れて狂っているし、気の遠くなるような壮大な内容の論文やら、擬音がめちゃくちゃな歌だとか、とにかくこちらの精神にも異常をきたしかねない複雑怪奇な内容になっています。
 一度でその内容を把握しきるのは不可能だと思いますし、結末を本当の結末として受け入れるのにもなんとなく納得はいかない。やたら冗長とも思える演出的擬音が挿入されていたり、ほとんど生理的な嫌悪感すら抱くようなグロテスクな挿話があったり。
 ミステリーや探偵小説という枠組みで語るのははばかられる突飛な話ですが、それでもいまだに人を惹きつける魅力のある作品だと思います。

 事実私は夢野久作の作品にはまり、「少女地獄」だとか「瓶詰の地獄」だとか、あるいは「犬神博士」なんかも読みました。
 それから、私が以前書いた「代弁」という短編は、夢野久作「少女地獄」を読んでいて、私も地獄を書こうと思ってできた作品でもあります。
 「ドグラ・マグラ」は長いですし、難解ですので、夢野久作に興味があるという方は「瓶詰の地獄」などの短編から読んでみてはいかがでしょうか。

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