最近発情期なのか、近所の雌猫が奇妙な鳴き声を、昼夜問わずあげています。それを聞くのは、我が家の雄猫。無論去勢済みなのですが、雄の本能なのでしょう、妙にソワソワとして落ち着かない様子です。日中などまさに女の尻を追いかけまわしています。しかし悲しいかな、彼の睾丸は梅干しのように萎れており、子孫を残す術がないのです。その二匹を逢い引きを見る度にぼくは切ない気持ちになり、同時に自身の持つ子孫繁栄の権利を実感するのです。
もっとも、持っているだけで行使されない権利に、果たして価値があるのか。
ぼくも猫もそれほど変わらないのかもしれません。