今日は久々に雪道を運転してきました。札幌に住んでたとき以来だから三年ぶりくらいですかね。スタッドレス履いてたけどめっちゃ緊張した。雪道で事故を起こさない最大のコツはなるべく冬に運転しないことだって北海道で学びました。
ちゃんと着込んでいったつもりだったんだけど、信じられないくらい寒かった。でも車の暖房強くすると眠くなるから調節が難しい。
札幌に住んでいるころ、冬になると夜中に除雪車が走っていて、ゴォーっという低い音を聞きながら眠りについていたのをよくおぼえています。町を彩っていたものが徐々に雪に覆われて、世界が白と灰色の中間のような色に染まっていくのを見ていると無性に心細くなった。雪が溶けて、町が色彩を取り戻すと、ああこの冬も何とか生き延びたなって安心した。雪はそれ自体が危険なものでもあるんだけど、人間は本質的に孤独なんだってことを突きつけてくる感じがあったなって思います。自分という存在の輪郭を試されるみたいな。うまく表現できないんだけど、そんなイメージです。
最近読んだ本。大谷朝子さんの『がらんどう』。男性に対する嫌悪感を抱きながらも子どもを産む願望を抱いている主人公の葛藤が丁寧に描かれていて、読み進めるほどに自分の人生観を暴かれているような気分だった。
人間は社会的な動物なのだから子孫を残すことだけが存在意義ではないし、ひとりで生きていく生き方だって間違いではない。などということを言いながら、結局は誰かと愛しあって結婚して子どもを産んで、という紋切型の幸福への強迫観念から逃げることができない無情さが世の中にはあふれてると思う。
二十代のころは「ご結婚はされてるんですか?」と訊かれ、三十代になると「お子さんはいらっしゃるんですか?」と訊かれるようになったんですが、それに「いいえ」と答えるときのいたたまれなさにこそ世界と、そして何より自分の矛盾があらわれているんだろうな。
筆者の大谷さんは理想と現実や、自己と周囲の摩擦をなめらかに描くのがうまいなあと思いました。素敵な一冊でした。