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体・躰・躯・軀の違い

拙著『暗黒竜の渇望』はこんな表現にもこだわってます

体→文字通りの体。全身。
躰→心身が一体となった全身(つまりより体が生き生きとしていたり逆に心身にダメージを負っている場合は「躰」になる。人から暗黒竜に変化する場合は心身の変化もあるから「躰」なのだ。だって、人の心も失うのだから)
躯→建築用語で躯体というように特に胴体のことを言う。つまり手足と首は含まない

なお躯という漢字、実は「むくろ」とも読める。要は死体のことだが一般的には「骸」という字を使い「躯」は生きている方や建設中の建築躯体物を意味する。なお建築用語としての「躯体」という語は窓枠を含めない工事中の段階を意味する言葉なので「躯」は変身シーンで使う言葉にはうってつけだ。ただし旧字の「區」が入ってる「軀」と書いた場合は「骸」の意味に近くなる。しかも首や手足がない死体は「軀」の方がより正しい。「骸」はどちらかというとミイラみたいな概念に近い。別にこれは漢字検定2級から準1ぐらいだから14歳中3以上ならこういう表現にしていい。というかラノベって半分は漢字の御勉強をするための本だよ。楽しく物語を親しみながら国語力を身に着けるためのツールのはずだったんだよ。いまやスマホゲーのテキストに落ちて「ステータス、オープン!」の世界に落ちたけど(だからラノベは売れないのね。しかもラノベって小説の書き方の練習本としても買われたんだしね。00年代の頭までは)

フォロワー様の創作にお役に立てれば幸いです。よく昔はミステリー作家がこの「からだ」の違いを漢字で駆使してましたよね。

「心・技・体」というように「体」と書く場合は心身と区別する。本当はね。公文書では体って心身のことも指しているようだけど本当は間違いなのよ。

余談だが口腔や鼻腔のように「腔」も「からだ」と読める。体内の空洞部分も「からだ」なのだ。なお「腔」(からだ)表現は18禁BANを防ぐことも出来る表現なのでぜひ活用してみよう。(※「『腔』(からだ)ってどこの部分よ?」って誤魔化せるので。)

これが「ザ・文章テクニック」だと私は思っている。

・『暗黒竜の渇望』で「体」と「躰」を使い分けた章
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647878592725
・『暗黒竜の渇望』で「腔」(からだ)表現を使用した章
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647881918307
・『暗黒竜の渇望』で「躯」表現を使用した章
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647877400364

また本日このような同じ読み、似たような漢字なのに微妙な変化をも楽しめる作品である事を「あとがき」に追加記述しました

・『暗黒竜の渇望』「あとがき」
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647892319104

4件のコメント

  • 高崎レイナ 様

    出来ますよ。だから中2病って言うんですよね。最近の子供ってこの「中2病」が無いらしいんですよ。『ロードス島』とか特にそうですよね。無意識に漢字を叩き込むことが出来る。だって文学の「エントリー」として書くのが本来のラノベの姿だもん。2002年頃に当時の20代中年向けに萌えを全面的に書くようになってから「ラノベの死」はもう実は見えていた。当時はまだ20代向けだけどこれが10年後に30代、20年後には40代向けとどんどんラノベ読者層は高齢化して果ては「異世界転生・ノーストレス」希望にまで退化しちゃったんですよ。
  • 『ロードス島』の第1巻の灰色の魔女の冒頭見りゃ分かります
    ・峰々
    ・齢(よわい)
    ・皺(しわ)
    ・寸胴な体格
    ・華麗にして聡明
    ・安穏
    ・躊躇(ためら)う
    ・崇敬
    ・賢政

    わずか数ページでこれですよ。そして私はこれが本来のラノベの書き手の在り方でもあり同時に大人としてのあるべき姿じゃないのかなと。昭和63年にはあった姿が平成後期にはもう消えてたんですよね。そりゃ中高生からラノベは見捨てられて青い鳥文庫とかに逃げますよ。
  • とても興味深く勉強になります!
  • ありがとうございます!
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