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「大正霊能科学奇談」あとがきと雑記②

自分の創作意欲が迷子になった私は、筆を折るか、引き続きガムシャラに書くか悩んでいた──

去年の6月のことですね。
デビュー作が刊行されてから、私は燃え尽き症候群に陥りました。
自分の名前が印字された表紙、小説が本屋さんに並ぶという光景は、執筆をはじめて10年間の中でもっとも待ち望んだことでした。が、同時に襲い来るのは不安でした。
元々、不眠症とか精神疾患が少々ありまして、デビュー作の初稿(コンテスト応募時)から刊行されてからのことはあんまり覚えてません。
考え始めるとズルズル引きずるタイプなのですが、この時期はどちらかと言うと「夢が叶ったことの満足感」と「自著への期待」と「重責」と「焦り」がごちゃ混ぜになっていて、これらを自覚したら、目の前が暗くなりました。
私は自分に自信がなく、どうしようもなく臆病ですし、自己肯定感もかなり低いです。そんな自分でいることも嫌だから、小説を書いて気を紛らわすということも少なくないです。
去年9月の近況ノートで書いた「体調不良」は、ここから始まってましたね。

無事、刊行も済んで、別件のコンテストでもありがたいことに賞をいただいてもなお体調不良のまま「小谷杏子」は私が思い描く通りに頑張ってました。
そんな「小谷杏子」の次回作が決まった後、刊行まで少し時間が空きます。
でも、やる気が起きない。
どんな風に物語を書いていたのか思い出せない。もう書けないかもしれない。
本も一作出したし、嬉しかった。これ以上、何かを望むのも怖い。だったら、もう書かなくてもいいんじゃないか。
などなど、弱気と満足を行ったり来たりしながら考えました。
とはいえ、私には養う家族もいないし、パートナーもいないし、家族や友達とも疎遠で、やっぱり小説しかなく、他にやりたいこともなく……困ったことに「小説家・小谷杏子」ではない外見の「私」は全く充実していないのです。

そんな情緒不安定な中、とりあえず何かしようと筆をとり、コンテスト向けにプロットを作り始めたのが「大正霊能科学奇談」でした。
女性向けであり、当時は「バディもの」が流行っていたこともあって「和風で男子二人のバディものがやりたい」と思いつきました。

流行に沿う・読者のニーズに合わせる・出版社が売りやすい物語として、作るのは小説家にとって重要なスキルだと思います。
小説家だけでなく、どの分野の仕事にも言えることだと思います。
でも、それを意識して書いてみたら、つまらなかった。私の力量不足なのです。力がまだまだ足りない。
そんな迷子のまま書き始め、「つまらない」と早々に匙を投げ、今まで書いた中で一番の駄作として見放しました。そして、コンテストに出すのもやめ「それなら、私が好きな小説」にしようとシフトチェンジしました。
「天神さまはお見通し!」という作品を書き、その設定を引き継いで、むしろ「天神さま」の世界がどうしてこうなったのかを語るための物語でして。エピソード0とでもいうんでしょうね。
最後までプロットを作りましたが、しばらく書かずにいました。11月頭まで悩んでいたようです。
ちょうど、刊行作業の合間ということもあり、せっかくならカクヨムコンに出してみようと思ったのが11月だったんでしょう。あんまり覚えてないです笑(過去の近況ノートを見ながら書いてます)

そんな大前提があって、嫌々ながら書いていった作品でした。
「全然面白くない」「調べ物もたくさんあるし、面倒」「読みづらいし、読み返すのも面倒だ」「自己中心的な小説だな」と書きながら思っていました。
誰に向けて書いているのか、さらに迷子になっていきます。
しかし12月、ここまでずっと思い悩んでいたことが急に吹っ飛びます。

なんだか思ったよりも長くなりそうなので、続きは次のノートに書くことにします。
次こそは本編のこととキャラクターについてお話しします。

「大正霊能科学奇談」あとがきと雑記③ - カクヨム https://kakuyomu.jp/users/kyoko/news/16816700426065764827

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