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スクリプトの中編(前半) Act2: trainが完結しました+本来の暗号通貨市場

 18 bloodをもって、スクリプト《S-Crypto》 対暗号通貨犯罪諜報部隊(高校生インターン)回顧録の前半は完結となります。

 基本的に全ての要素がこの中編の中で手尽くした状況となるため、ここからすべてを巻き返す後半の物語が展開していきます。

https://kakuyomu.jp/works/16816452220093672224/episodes/16816700427997826454



 金融の世界や、暗号通貨をこの作品で知った人に、念のため現実世界の金融市場や暗号通貨市場の状況を私の解釈の範囲でお伝えします。目的は、この作品みたいな陰謀論や暗号通貨ビジネスはハマらないようにしてくださいね〜という内容になっています。不当なことをすれば衛理や真依や未冷という可愛らしい高校生が銃弾をぶち込みにくるのがこのスクリプトでしたが、現実は悲しく、やってくるのはちゃんと訓練を受けた警察や国税庁の人となるでしょう。そして、死ぬのではなく、償う戦いがはじまるはずです。
 結論から言えば、暗号通貨には価格以上の価値はあるとは言えませんし、仮に買ってもすべてもっと資本という体力を持っている人間に吸い取られる可能性が高いです。
 このため現実世界の政府は案外常識的に市民、国民の味方をしてくれますし、公の組織がちゃんと動きますし、どちらかというと暗号通貨市場の問題はその巨大な資本を持ってる人との関係によってまだとっちらかってるようです。空想の世界は少数で描かれるために信じられないほど面白いか、新たな夢へ誘うほどつまらないものですが、現実世界はたくさんの人の手が介在しますから、そこそこおもしろく、そしてそこそこつまらないものなのです。



 基本的に通貨は社会を越境しますが、越境するにあたって特定の政府などの政治的集団や個人によって価格を安定させることが原則です。そうでなければ必要以上の、つまり本来の価値以上の資本の流出と流入が発生し、地球社会の継続を困難にする恐れがあるからです。

 つまり、通貨やそれを起点として価値を提供するすべての金融商品は、政治的集団、および民主主義の場合ならその政治的集団を選んだ市民の存在と、それら政治的集団による法整備や規制などの牽制による価格の維持を前提としたものとなっています。これにより、価値以上の取引を規制することができます。

 この流れを汲み取るように、今の世界では、この作品スクリプトのような影の組織による暗号通貨の画策ではなく、政治的な集団、たとえば政府によって、自らが生み出したわけではない暗号通貨の金融商品としての規制が現在進行形でそれぞれの政府ごとに行われはじめています。特に代表的なのが中国の暗号通貨の事実上の禁止の宣言であり、ガッキーと星野源の結婚報告日と重なったがためにガッキーショックなどと呼ばれるに至った事件です。

 しかし、その暗号通貨の値段に対して複数の社会の調整を担う集団に政府は至ってはいませんし、それを代替する組織もそれぞれの通貨の原則のなかにしか存在せず、価値は増えないままに価格の数字だけが乱高下している状況です。
 つまり、誰も責任を持つことなく、損をすれば自己責任、という金融商品の市場原理だけが働く状況のほうが圧倒的多数であるということであり、他の金融商品とは一線を画する存在です。価値と価格が結びつくほどの安価な値段の時代は問題はありませんでしたが、いまやひとつのコインが数百万円の時代となってしまい、問題は大きくなりつつあります。それは価格の上昇を価値と見間違えてしまう人たち、金融市場のフィクションのキャラクターたちの言葉を借りれば「カモ」を招いているからです。実際に本屋に、暗号通貨の価格の上昇する話とウィキペディア程度の情報、そして買い方しか載ってなさそうな本が並び、電車の広告でもその本や暗号通貨の取引所のCMが流れ、暗号通貨における犯罪は、IPOならぬICOでの大規模詐欺事件から、このスクリプトでは取り扱っていない貧乏くさく、しょうもない情報商材まで含めて存在している状況です。

 この暗号通貨市場は、市場を独占している側にのみ非常に有利に働く危険な状況であり、どこかの暗号通貨を買っていた国家の破綻を救済する、という話にまでなってしまった場合には我々自身の収入や血税に影響を及ぼしかねません。
 その致命的なものが起きた時は、日本ではリーマンショックと呼ばれました。特定の企業だけの問題のように捉えやすいイメージがあるこのフレーズですが、実際は地球全体の銀行や金融商品の規制の不足から起きた事象で(詳細は アダム・トゥーズの暴落――金融危機は世界をどう変えたのかを読んでみてください、最近でかい図書館なら置いてあったりしました )、二度と起きないという保証はありません。場合によってはそれが、暗号通貨で起きてしまう可能性すらあるということです。

 ただ、本質的に暗号通貨は他の法定通貨と異なり政治的な集団がいないため、その価値、つまり信頼性が低く、決済に利用される事例の少なさもさることながら、金融商品のなかに組み込まれている事例は多くはないと私は考えています。しかしもしもそのような商品が多い中で破綻が起きれば、おそらくリーマンショックほどでないにせよ、社会に巨大な格差という形で爪痕をのこすことになるでしょう。
 なぜなら、いま暗号通貨を買い支えているのは、案外会社の中の同僚であり、上司であり、つまり中流階級や、人生の一発逆転を狙う人だったりするからです。彼らから収入以上の金が消し飛べば、仕事を続けられるかは不明です。たとえ大丈夫でも、そのお金で得られたはずの価値を捨てることとなります。これが、金融商品、特に現在の暗号通貨市場の恐ろしさだと私は思っています。

 おそらくいくつかの事件を乗り越えて暗号通貨の価格は価値と一致し、世界で利用されることになるでしょうが、まだ我々の世界では通貨としての価格は高くあれど、通貨が本来果たすべき価値の交換という意味では役に立たない状況が続くでしょう。

 ではスクリプトの世界はどうなのか?という話については、これから出てくる後半の中で書いていくこととなります。カクヨムコン7の現代ファンタジー枠で出そうかなと思ってます。現代における暗号通貨と取引できないはずの高校生という組み合わせ自体がファンタジーしているのできっと大丈夫だと私は自分を納得させました。
たぶんクリスマスにリリースが完了するような流れになりそうです。可能な限りそうならないよう、コツコツ執筆を続けていこうと思います。

 以上です。続きをご期待ください。

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