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金縛りを経験しました。

今年に入ってすでに二回、金縛りにあっている。これまで生きてきて一度も経験した事が無かったのに短いスパンで二回。こりゃなんかあるのかな?

貴重な体験なのでちょっと記録しておこうと思う。

一度目の金縛り。
ウチには猫が一匹いるのだけれど、夜中に時々布団の上に乗っかってくる事があって、その日も足の辺りから腹の辺りまで順に何かが乗っかる感覚がしたのだけれど、特に私は気にしていなかった。
しかし、瞼をうっすらと開けてみると目線の先にあるストーブの前で何故か気持ちよく寝ている猫の姿。
あれれ、じゃあ布団に乗っかっているのはなんだ?
というのが金縛りの始まりだった。

乗っかる感覚がついに頭の近くまでやってきたので私は確認しようとするのだけれど、どうにも体が動かない。
横向きになって寝ている私の首の後ろに確実に気配を感じるのだけれど、それを見ることが出来ない。
ああ、これが金縛りというやつか、と私は妙に冷静な気持ちで受け止めた。
恐怖はなかった。

気配は私の首の後ろから動かない。なんだか耳に生温かい息が吹きかけられている気がしたのだけれど、それでも私は冷静だったように思う。

その気配から悪意を感じられなかった、とでも言えばいいのだろうか。
私は何故かふと、昔飼っていて死んでしまった猫(今いる猫の親である)の事を思い出し、もしかしてアイツがやってきたのかなあ、なんて呑気に考えていたのだった。

グッと首に力を入れてみたり、体を捻ってみようとしたりしたのだけれど、まったく動かないので私は諦めてギュッと目を瞑った。
そしてそのまま眠ってしまった。

朝のぼんやりした頭で、あれは夢だったのか金縛りだったのかと、曖昧な感覚だけが残っていた。


二度目の金縛り。
また奇妙な感覚が足先からして、前の金縛りの感覚を覚えていた私はおや、これはまさか、と思ったのだった。
案の定、体は動かないしストーブの前で猫は寝ている。
またもや気配は私の首筋辺りにとどまり、生温かい風を吹きかけてくる。
今回はなんだかシャクシャクシャクと喋っている気がした。(なんと言っているかは聞き取れなかった)

この時も私には恐怖というものがなかった。

どうにか正体を確認してやると、前の金縛りの時よりも一層体に力を入れて色々動かそうとしてみたのだけれど、やはり上手くいかない。

そうなってくると私にできるのはただ頭を働かせる事だけだったので、さてさて、なぜ金縛りなんて起きるのかしら。最近悪いことでもしたかな、食生活の乱れのせいかな、なんて自分の体の心配をしはじめた。

か細いシャクシャクシャクという音がずっと聞こえていたけれど、私はついに、明日はちょっと筋トレをして野菜を多く食べようと心に決めて、ギュッと目を瞑ったのだった。

前回は夢だったのか現実だったのか曖昧だったけれど、二回目ともなれば真実、私は金縛りにあったのだと納得できた。


さてさて、ここまでちょっと怪しげに書いてみたものの実は私、金縛りを霊現象だと思っていない。
金縛りというのは体が睡眠状態のまま脳が覚醒してしまう状態の事だ、という説を信じている方の人間である。

実際に私が感じた気配や耳にかかる生温かい風ってのも思い込みの域をでないものであるし、シャクシャクシャクという音にいたっては、ただイヤホンから漏れ出ていた音楽だった(私はよく寝る際にイヤホンで音楽を聞く)。
とはいえ、全てが全て勘違いだと言い切るのもなんだか味気ない。

もし、アイツが来てたならそれはそれで良いかな、なんて希望もちょっと残しておきたいのだ。






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