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マシュー・パール著「ダンテ・クラブ」

 昔の話。
 当時の私はなんだか海外翻訳小説ばかり読んでいたように思う。過去に近況ノートで書いた海外ファンタジーにハマっていたという理由もあるのだろうけれど、それ以外にも「ヘヘへ……これが時代の最先端小説なんだぜ」みたいな馬鹿な勘違いをしていた気がする。
多分、思春期の学生が洋楽にハマってJーPOPを馬鹿にするのと同じ感覚。今思えば、全く恥ずかしい話だけれど。

 その頃読んだ本の中に「ダンテ・クラブ」ってのがある。もう内容はうろ覚えなので検索してざっくりしたあらすじを掲載する。

 ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー、オリバー・ウェンデル・ホームズといった作家達がダンテの『神曲』の地獄編を英訳するためにケンブリッジに集まる。(ダンテ・クラブ)
 その後ボストンで起こった連続殺人事件。それは『神曲』の地獄編の劫罰を模倣した猟奇殺人だった。
 それに気付いたダンテ・クラブの面々は殺人事件の解決に挑む。
(wikipedia一部引用)

 購入した理由はなんだったかな。作家が主人公というのに惹かれたのかもしれないし、「ダンテ」という響きにくすぐられたのかもしれない。
 その頃は「神曲」の内容なんて知らなかったから、上記のどちらかだったように思う。(カプコンの「デビルメイクライ」好きだったし)
 いわゆる模倣殺人を扱った話なのだけれど、当時の私には「芸術作品を模倣した殺人」ってのが新鮮に映り、夢中で読んだ。

 それから後、思春期も終わって色々な作品に手を出し、自分でも書いてみたい欲求が芽生えだした頃、ふと「ダンテ・クラブ」を思い出して、私は実在する小説(作家)を題材にした事件って良いかも、とあれこれ自作小説の構想を練った。
「犯人は夢野久作」「伊坂幸太郎殺人事件」「ホームズからの挑戦」
なんとも失礼千万なタイトルを付けたりもした。
 あいにく、構想を練るだけで形には出来なかったのだけれど考えている最中はとても楽しかったと記憶している。

 しばらく経ってから「ビブリア古書堂の事件手帖」の存在を知り、微かな悔しさと、感性は間違っていないのだなというちょっとした自信がついた。




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